金融市場NOW

英国総選挙 保守党の単独過半数獲得か

2019年11月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

野党勢力は下馬評を覆すことができるか

  • 英国総選挙の選挙戦がスタート。高い支持率を得ている与党:保守党の単独過半数獲得の可能性も囁かれるが、野党勢力は事前予想が覆された前回選挙の再現を目指す。
  • 市場は保守党が単独過半数を獲得、想定通りのEU離脱となることで不透明感が払拭されることを期待か。

支持率では離脱態度を明確にする保守党有利

グラフ1:世論調査(支持政党)

  • 出所:YouGovのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

12月12日に投開票される英国総選挙は本格的に選挙戦がスタートしました。世論調査(11月19日公表)では、保守党の支持率が42%と2位労働党に12ポイントの差をつけています(グラフ1)。英国は1選挙区1名を選出する単純小選挙区制を採用しており、一般的に大政党が有利とされている制度であることから、保守党が単独で過半数を獲得する可能性も囁かれています。

与党:保守党が支持率でリードする中、EU(欧州連合)残留を公約とする自由民主党、緑の党などの野党は、同一選挙区に候補者を出さないなどの選挙協力を行っています。最大野党の労働党は、残留を選択肢とする2度目の国民投票実施を公約としていますが、離脱派、残留派が混在しており、党の態度を明確にしていません。

有権者の関心は離脱問題が1番だが

選挙に関する世論調査(複数回答可)では有権者の約7割が離脱問題を重要な課題とし、最大の関心事であることは明白ですが、3~4割の有権者はヘルスケアや経済も重要な課題と捉えており、各党は離脱問題以外の政策も積極的にアピールしています。前回2017年の選挙において離脱問題を最優先とした選挙戦を展開した保守党に対し、生活環境の改善など“暮らし”に重点を置いた労働党が若者から支持を得て、保守党圧倒的有利の下馬評を覆した例が、背景にあると思われます。離脱問題のみに焦点を置いた選挙戦を展開することに各党はリスクが大きいと感じているようです。

前回選挙では650選挙区のほぼ1/4の選挙区で10ポイント以下の僅差で勝敗が決まっており、うち51議席では2ポイント以下(1,000票程度)の僅差で勝敗が決まりました。ロンドンの一部やスコットランドの選挙区で接戦が想定されています。今回も接戦が予想され、直前の予想を覆すような選挙結果となることも否定できません。

市場は保守党圧勝を求めるか

グラフ2:英国金利とポンドの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

保守党が単独過半数を獲得し、離脱期限の2020年1月31日に予定どおり離脱することが不透明感の払拭となり、市場が期待している結果であると思われます。18日の英国市場では、保守党の高い支持率を受けて、リスク選好の動きから金利は上昇(価格は下落)し、ポンドは買われました(グラフ2)。残留支持の野党連合による政権獲得というシナリオも、合意なき離脱リスクの低下という面で、市場は好感すると思われますが、2度目の国民投票実施を巡る各党の思惑から混乱も予想されます。議席が分散し不安定な政権誕生の場合には、合意なき離脱リスクを巡り一喜一憂する相場展開が継続するものと思われます。

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