日本版スチュワードシップ・コードへの対応

私たちニッセイアセットマネジメント(以下、「当社」という)は、「受益者」の中長期的なリターン向上とリスクの低減を目的とした調査・投資活動を運用プロセスの中核としています。具体的には、企業との対話を活用し、中長期的な視点での企業調査(サステナビリティ<中長期的な持続可能性>を把握する当社独自のESG評価を含む)を行い、企業評価を実施しています。

このプロセスにおいて重要となるのは「企業との対話」です。実りある対話が投資先企業の市場からの評価向上及び企業価値向上につながり、結果的に受益者と投資先企業の共創(Co-Creation)が果たされるものと確信しています。

こうした取り組みにより当社は金融仲介機能を担う資産運用会社として、日本の経済・社会の発展に貢献していきたいと考えています。

以上の考え方は、日本版スチュワードシップ・コードの考え方と合致するものと考え、2014年5月にコード受け入れを表明しました。また、2020年3月に改訂されたコードについても、その8つの原則に賛同し、受け入れを表明しました。

今後とも責任ある機関投資家として自らのスチュワードシップ活動に必要となる能力の更なる向上を図るとともに、コードへの対応について毎年見直し・更新を行っていきます。


原則1

機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである

スチュワードシップ責任とは、『投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほかサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「受益者」の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任』です。

<スチュワードシップ責任を果たすための方針>
当社は、スチュワードシップ責任を果たすため、以下の方針を策定しています。なお、当方針は、主に、日本株運用に適用されますが、議決権の行使のような株式特有の項目以外は、国内社債運用にも適用することが可能と考えています。

議決権行使の方針

  • 「企業との対話」を重視し、当社独自のESG評価を行い、
    中長期的な視点での企業価値の評価・投資判断を行うよう努めます。
  • ESG評価は、受益者の中長期なリターン向上とリスクの低減につながる
    投資先企業のサステナビリティ(中長期的な持続可能性)を把握するために実施します。
  • 「企業との対話」を実りあるものとするため、
    経営層との対話に重点を置き、企業活動への深い洞察と理解に努めます。
  • 「企業との対話」の場面では投資家としての意見を伝え、
    お互いの意見を交換することにより企業価値の向上とリスクの低減を実現し、
    受益者と投資先企業の双方がその恩恵を受けることができるよう努めます。
  • 議決権の行使を「企業との対話」のひとつの手段として位置づけ、
    スチュワードシップ責任を果たすよう努めます。

原則2

機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである

スチュワードシップ責任を果たすにあたり、利益相反について以下の方針を策定しています。

  • スチュワードシップ責任を果たすにあたっては、
    受益者のみの利益(投資先企業の企業価値の向上または毀損防止)を考慮します。
  • 利益相反が生じうる局面を具体的に特定し、議決権行使や対話において
    利益相反を実効的に防止する仕組みを構築することにより受益者の利益の保護に努めます。

当社では、スチュワードシップ活動の中で利益相反が生じうる局面については、具体的に以下の通り、特定しています。

  • 利益相反の生じる可能性が特に高い局面
    当社の利害関係人等(当社及び親会社である日本生命保険相互会社(以下、「日本生命」という)の子会社・関連会社等)、当社役員及び日本生命の役員等が取締役・監査役等に就任している(候補者を含む)企業に対する議決権行使および対話
  • 利益相反の生じる可能性が高い局面
    当社の大口取引先、日本生命の株式保有比率が高い企業等に対する議決権行使および対話

上記局面において、利益相反を防止する仕組みは以下の通りです。
なお、その運営状況については、「スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価」で公表しています。

<責任投資監督委員会の設置>
議決権行使については、独立した社外取締役を過半数とする「責任投資監督委員会※1」で協議の上、運用部門担当役員が議決権行使の判断基準を定めます。原則として、この判断基準に従って行使判断を行うことで、議決権行使のプロセスの透明性を確保します。

<利益相反の生じる可能性が特に高い局面>
さらに、上記(1)に該当する「利益相反の生じる可能性が特に高い局面」の議決権行使においては、議決権行使助言会社の助言に従い判断を行い、利益相反の可能性を排除します。(責任投資監督委員会にも報告)

<利益相反の生じる可能性が高い局面>
上記(2)に該当する議決権行使において、当社の判断基準と異なる判断を行う場合、原則、事前に「責任投資監督委員会」で利益相反防止の観点から協議を行った上で行使判断を行います。(1)、(2)に該当しない行使判断においても、判断基準と異なる判断を行った場合、行使結果を責任投資監督委員会に報告します。

また、上記の(1)、(2)に該当する企業との対話については、課題の重要度等に基づき、責任投資監督委員会に報告します。

  • 責任投資監督委員会
    利益相反管理の観点からスチュワードシップ活動等の適切な運営を確保することを目的として設置。独立した社外取締役とコンプライアンス・リスク管理統括部門担当役員で構成。(なお、社外取締役が過半数)

原則3

機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである

投資先企業の持続的成長に向けた当該企業の状況の把握には、財務情報に加えて非財務情報※2の活用が不可欠と考えています※3。日本株運用担当者は、財務情報を分析するとともに、非財務情報を積極的に収集し、業界の構造変化などの外部環境等を勘案した上で、中長期の業績予想を行います。また、国内社債運用担当者も、財務状況の分析などに加え、非財務情報を活用し、企業の信用力分析を行っています。

<非財務情報の収集>
非財務情報の収集は、経営層との対話や工場等の現場訪問、企業開示書類の精査により行っています。企業開示書類では、 財務情報と非財務情報を有機的に統合した報告形態※4が日本でも増加していますが、その開示媒体となる有価証券報告書/統合報告書(任意)や、コーポレートガバナンス・コード導入以降、開示が拡大しているガバナンス情報掲載資料(コーポレートガバナンス報告書等)などを活用しています。なお、議決権行使業務において活用する株主総会関連書類も、早期にガバナンスの状況を確認できる点において、有用な資料となっています。

<ESG評価の運用プロセスへの組み込み>
このように収集した非財務情報を分析し、投資先企業のサステナビリティ(中長期的な持続可能性)を把握するための軸として、ESG評価を行うことが重要であると考えています。このため、当社独自のESG評価手法を運用のプラットフォームとして、日本株運用と国内社債運用のプロセスに組み込み、日本株運用においては、中長期の業績予想の確信度を向上させるよう努めています。また、国内社債運用においては、企業の信用力評価の精度を向上させるよう努めています。

気候変動問題や持続可能な開発目標(SDGs)※5への対応など企業に対する要請が高まる中、ESG評価を通じて投資先企業の持続的成長力を把握することの重要性が一層高まるものと考えています。

<ESG評価の視点と活用>
ESG評価は以下の視点により実施していますが、適宜(少なくとも年1回)調査対象企業を再評価し、適切なモニタリングを行える仕組みを構築しています。

  • TCFD※6で焦点があたる気候変動問題をはじめとする環境問題に対する取り組みが
    企業価値毀損の防止・向上につながっているか(E:環境の視点)
  • ステークホルダー(従業員・顧客・取引先等)との関係が企業価値向上につながっているか(S:社会の視点)
  • ガバナンスの仕組み、体制等が企業価値向上につながっているか(G:ガバナンスの視点)

また、財務情報や個別企業のニュースフローを確認し、中長期の業績予想に与える影響度について把握し、常に、ESG評価に反映できるモニタリング態勢を整えています。

なお、当社では、ESG評価の重要性を提唱するPRI※7(国連責任投資原則)に賛同し、その発足した年(2006年)に署名を行っています。

<TCFDへの取り組み>
企業の持続的な成長力に対する気候変動の影響が増す中、「財務的インパクトをもたらす気候変動関連リスクと機会の開示」を企業に求めるTCFDの考え方は、当社のESG評価の考え方(E:環境要因)に一致するとともに、企業の状況をより的確に把握することを可能にすると考え、その趣旨に賛同、2019年1月にTCFDに署名しました。
署名に伴い、TCFDが運用機関に奨励する開示項目は「ガバナンス」「戦略」「リスク・マネジメント」「指標とターゲット」となりますが、各項目における当社の取り組みは以下のとおりです。

  • ガバナンス
    TCFDへの対応を含むスチュワードシップ活動の概要を、運用部門が主催する「責任投資委員会」、取締役会から権限を委譲された社外取締役を過半数とする「責任投資監督委員会」に報告しています。
  • 戦略
    環境要因に対する企業の取り組みへの評価を組み込んだ、当社独自のESG評価プロセスを活用し、環境要因が企業の持続的な成長力に与える影響を把握、「受益者」の中長期的なリターン向上とリスクの低減に努めます。具体的には、TCFDの浸透により、気候変動関連のリスクと機会の開示の充実が期待されるため、2019年2月に「TCFDに基づいた気候変動リスクへの対応」への評価を、当社のESG評価(環境評価)に追加しました。
  • リスク・マネジメント
    ESG評価を用い、投資先企業の気候変動関連リスク等を把握しますが、気候変動関連リスクが環境要因に与える影響の評価基準については、気候変動関連を巡るルール設定等を考慮し、毎年、その妥当性を検討しています。この評価・分析結果を中長期業績予想の策定や投資判断、企業との対話などに活用し、投資先企業の気候変動関連リスクの低減に努めます。
  • 指標とターゲット
    リスク・マネジメントの指標としては、投資先企業のESG評価に伴い付与するESGレーティング※8内のE(環境)レーティングを用い、付与状況や株価パフォーマンスを定期的にモニタリングしています。また、環境に関わる対話の内容の把握・管理も行っています。
  1. 非財務情報
    企業の中長期的経営ビジョン、ビジネスモデル、業界の構造変化などの外部環境、これらを踏まえた経営戦略、企業価値を創出するためのガバナンス体制等。
  2. 当社は投資先企業との対話において、未公表の重要事実を受領することは企図していません。万一受領した場合には、当該企業の株式の売買を停止し、インサイダー取引規制に抵触することを防止しています。
  3. 統合した報告形態
    企業が財務情報だけでなく非財務情報も用い、投資家を中心とするステークホルダーに中長期的な企業価値創造プロセスを示す報告形態で、「統合報告」と称されることもあります。
  4. 持続可能な開発目標(SDGs)
    2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2030年までの目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、「地球上の誰一人として取り残さない」ことが誓われています(外務省ホームページより)。
  5. TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
    Task Force on Climate-related Financial Disclosures。G20の財務大臣・中央銀行総裁からの要請を受け、金融安定化理事会(FSB)が設置したタスクフォース(2015年)。2017年6月に、気候変動関連財務情報の開示に関する最終報告書をG20に提出した。
  6. PRI
    Principles for Responsible Investment。2006年に当時の国際連合事務総長であるコフィー・アナン氏が金融業界に対して提唱したイニシアティブであり、機関投資家の投資意思決定プロセスにESG課題を受託者責任の範囲内で反映させるべきとした投資原則。
  7. ESGレーティング
    企業の持続的な成長性の観点から、ESG総合とE・S・Gの各項目において、主に3段階で、レーティングの付与を行う。

原則4

機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである

当社は、ESG評価を活用し、中長期的な分析視点から投資先企業と意見交換を行い、認識の共有化に努めますが、投資先企業と当社との考え方に相違がある場合には、投資家としての意見を伝え、建設的な議論を行うことで、投資先企業の価値の向上とリスクの低減を図ります。

なお、日本株パッシブ運用でのみ保有している銘柄についても課題の重要度等を考慮し、対話を行うよう努めます。また、日本株アクティブ運用では、選択肢として株式の売却判断を否定するものではありません。

<ESG評価を軸にした対話>
原則3で説明したように、当社独自のESG評価等を用い、投資先企業の持続的成長に向けた当該企業の状況の把握を行います。この過程において認識した中長期的な持続可能性に向けての課題を対話アジェンダとし、対話を実施します。

こういったESG評価を軸にした対話の効果を高めるため、ESGや議決権の行使に係る専門人材であるコーポレート・ガバナンス・オフィサーを2007年9月より運用部門に配置しています。コーポレート・ガバナンス・オフィサーはグローバルなガバナンスやESG・CSRの動向を踏まえて、投資先企業と対話を行う運用担当者にアドバイスを行うとともに、必要に応じて運用担当者と協働で対話を行っています。

<日本株式運用・国内社債運用担当者の対話の視点の共有化>
日本企業を分析するアナリストには、株式アナリストと企業の信用力評価を行うクレジットアナリストがいます。両アナリストの企業分析の視点には、投資先企業の持続的な成長力とそれに伴うリスクを考察するなど多くの共通点もありますが、株式アナリストはより中長期的な成長性の観点を重視する一方、クレジットアナリストは財務面等の(ダウンサイド)リスクに重きを置くという違いもあります。

当社では、企業の持続的な成長を後押しする対話においては、両アナリストの視点を踏まえた上で実施することや対話アジェンダもひとつの声に統一することが望ましいと考え、2020年3月から、運用部門横断のESG・対話の責任者を設置するとともに、株式運用プロセスにおいて活用していた(対話アジェンダを選択する際に用いる)独自のESG評価手法を、国内社債の運用プロセスにも組み込んでいます(原則3を参照)。このような取り組みは、両アナリストの対話力向上を通じ、より建設的な対話を可能とし、スチュワードシップ活動の実効性を高めることにつながる、と考えています。

<企業との対話の視点>
企業との対話は経営層・IR担当者との個別面談を中心に行っていますが、企業からの依頼に応じて経営幹部の方々を一同に会しての意見交換会を行うこともあります。

企業との対話の視点(例示)は次のとおりです。

事業戦略

  • 経営理念・経営ビジョンが事業戦略に織り込まれ、企業の中長期にわたる持続的な成長、
    企業価値の向上につながっているか
  • 事業を取り巻く経営環境やリスクを適切に把握し、
    資本コストに見合うリターンを上げる事業ポートフォリオ運営となっているか
  • 中長期的な企業価値向上の観点で、資本コストを意識した、
    設備投資、企業/事業買収などの判断が行われているか。
  • 人材戦略(人材教育、適切な評価によるインセンティブ付与、
    国際性や女性の登用等に配慮したダイバーシティへの取組み等)が適切に行われているか
  • 気候変動(環境規制の厳格化など)、パンデミック事象、SDGsなど社会的な貢献への要請の高まりによる、
    企業業績やビジネスモデルに与える影響(機会・リスク)を的確に認識し、
    企業価値維持・向上に向けた適切な経営戦略を策定しているか 等

財務戦略

  • 資本政策(資本構成・流動性確保等)が事業戦略遂行にあたって適切なものとなっているか
  • 事業戦略にあった適切な資金調達方法が選択されているか
  • 資本コストを意識し、手元資金の活用(株主還元など)が適切に行われているか 等

IR戦略

  • 投資家が企業を分析・評価できるような情報開示が行われているか
  • 企業の事業戦略や経営者のビジョンが投資家に充分伝わるものになっているか 等

ガバナンス/リスク管理

  • 独立した社外取締役の採用を行い、ガバナンスが機能する状況にあるか
  • 取締役会の構成が企業の状況を反映した適切なものとなっているか。
    経営戦略に加え、気候変動・SDGs・パンデミック事象への対応について、モニタリングできる態勢となっているか
  • 取締役会の構成において、多様な視点をもたらすダイバーシティ(女性の登用・国際性など)が考慮されているか
  • 独立した指名委員会や報酬委員会を活用し、経営のモニタリングが適切に行われているか
  • 反社会的行為を含む不祥事等のリスクに対する防止体制が十分か 等

<対外発信活動の位置づけ>
上記のような企業との「目的を持った対話」に加え、書籍の刊行や論文の執筆、投資候補先企業等が参加する講演会や会合等で、当社の運用の哲学やプロセスを伝えたり、企業開示の重要性を訴求したり、積極的に対外発信活動に取り組んでいます。

このような取り組みが当社の運用のプロセスに対する企業の理解を促進し、円滑な「目的を持った対話」と早期の認識共有化につながるものと考えています。

<協働して行う対話>
企業との対話には、上記のような当社単独での対話と他の機関投資家と協働して行う対話(集団的エンゲージメント)があります。協働して行う対話を実施するか否かの判断は、その対話内容・手法が、上述した当社のESGを重視した対話手法に合致したものであるか等を総合的に勘案しながら行います。

なお、同じ目的を持った他の機関投資家と協働して対話を行う手法の他、投資家団体等に加入し、市場のルールや企業行動・開示の慣行に働きかけを行い、企業価値向上を目指す手法もあります。当社は以下の投資家団体等に加入し、積極的に活動しています。

  • International Corporate Governance Network(ICGN)
  • Principles for Responsible Investment(PRI)
  • Japan Sustainable Investment Forum(JSIF) 等

原則5

機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである

当社は、「議決権行使」と「議決権の行使結果の公表」について以下の方針を策定しています。

議決権行使の方針

  • 議決権行使を「企業との対話」のひとつの手段として位置づけ、
    スチュワードシップ責任を果たすよう努めます。
  • 議決権行使の判断にあたっては、形式的な判断にとどまらず、日常の投資先企業との対話を活用し、
    個別企業の企業価値向上を念頭に、実情に応じた個別議案の審査に努めます。
  • また、その行使にあたっては、受益者のみの利益(投資先企業の企業価値の向上または毀損防止)を考慮し、
    利益相反の防止を行います。

当社では、「責任投資監督委員会」での協議を経て運用部門担当役員が決定する議決権行使判断基準に則り、運用部門内で個別議案の行使判断を行います。原則2に記述した通り、「利益相反の生じる可能性が特に高い局面」では利益相反を防止するため、議決権行使助言会社の判断に従います。その局面以外での議決権行使の判断にあたっては、形式的な判断にとどまることなく、日常の投資先企業との対話の活用により、実情に応じた個別議案の審査を行い、的確な行使判断に努めます。(利益相反への対応については原則2をご覧ください)

議決権の行使結果の公表方針

  • 議決権行使の結果である「議案別議決権行使状況」「議決権行使結果の概況」および
    「個別の投資先企業・議案ごとの議決権の行使結果」をホームページ上で定期的に公表します。

「スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価」において、「議案別議決権行使状況(剰余金処分案、取締役・監査役選任議案等の集計)」やその概況について説明した「議決権行使結果の概況」、「個別の投資先企業及び議案ごとの議決権の行使結果」(賛否の理由も開示)を公表しています。賛否の理由については、建設的な対話に資する観点から重要で、かつ、判断理由の明確化がより必要と判断した議案については、詳細な理由の公表を行うよう努めています。

また、原則2に記載したように、「利益相反の生じる可能性が特に高い」場合には、議決権行使助言会社の助言に従いますが、賛否の理由の公表の際には、議決権行使助言会社の名称も記載し、その活用方法がわかるようにしています。(議決権行使助言会社の体制等に関する確認については、原則8をご参照ください。)

なお、議決権行使の結果とともに、行使の判断基準を詳細に記載した「国内株式議決権行使の方針と判断基準」も公表することにより、投資先企業が企業価値向上に向けての当社の考え方を理解できるよう努めています。


原則6

機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである

当社は、企業との対話の概況や議決権行使の状況を掲載した「スチュワードシップ活動の概況」を毎年ホームページに公表してきました。

企業との対話の概況には、企業との対話の視点や対話事例、当社のスチュワードシップ活動に対する投資先企業の理解を促進する目的で行った講演・レポート発信などの対外発信活動を記載しています。また、スチュワードシップ活動の変遷がわかるよう過去分も閲覧可能としています。

2017年度からは、コードの原則7に対応し、「スチュワードシップ活動の概況」を拡充し、「スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価」として公表しています。(詳細は原則7を参照)

スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価

なお、上記の報告活動を的確に行い、スチュワードシップ活動の実効性を向上させるため、当社では投資先企業との対話や議決権行使判断の内容等について記録するよう努めています。


原則7

機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである

当社では、「受益者」の中長期的なリターン向上とリスクの低減を目的とした調査・投資活動を運用プロセスの中核としています。当運用プロセスでは、運用担当者は、真摯な態度での「企業との対話」を通じ、投資先企業の事業構造・事業環境・経営戦略等に対する深い理解が必要となります。運用担当者は、当運用プロセスの重要性を常に意識した上で「企業との対話」などのスチュワードシップ活動を繰り返し実践することにより、スチュワードシップ活動に伴う実力を高めることができるものと考えています。

<スチュワードシップ活動の実力向上に向けた取組み>
上記の考えに基づき、当社は、2004年に、株式運用プロセスに中長期の業績予想が必要となる株式価値評価システム(SVS:Shareholder Value System)を導入し、2008年には、中長期の企業像を把握する上で重要なESG要因を組み込んでいます。

ESGについては、2006年にPRIに署名したほか、2007年にはグローバルな機関投資家団体であるICGN※9にも加盟するなど、これまでもグローバルな知見を取り入れてきました。このESGを組み込んだ運用プロセスを進化させるため、2016年3月に新たに「ESG推進室」を設置しました。ESGの調査をグローバルで行うとともに、運用担当者向けにESGリサーチ会議を開催し、ESGの知識の共有化・深化を図ります。また、対話事例の共有化やベテランアナリストによる若手アナリストへの指導等を通じ、組織全体の対話力向上を推進しています。

<国内社債運用への適用>
このようなスチュワードシップ活動の実力向上に向けた取り組みは、日本株運用を中心に実施してきましたが、原則3・4に記載しましたように、スチュワードシップ責任のより実効的な履行の観点から、2020年3月から国内社債運用にも適用を始めています。

以上の取り組みは、運用担当者の企業活動への深い理解を促すとともに、企業分析・評価における洞察力・対話力を一層高めることにつながり、スチュワードシップ活動に必要とされる実力の向上に資するものと考えています。

<コンプライアンスへの取り組み>
社内の定期的なコンプライアンス研修やイントラネットに掲示して全役職員が常時確認できる「コンプライアンス・マニュアル」を通じ、インサイダー取引規制や利益相反防止等のコンプライアンス事項への役職員の遵守を徹底しています。

<経営体制について>
当社の経営陣は、スチュワードシップ責任を実効的に果たすための適切な能力・経験を備えた人材で構成されています。また、取締役会には、ガバナンス態勢の独立性・透明性を向上させるため、独立した社外取締役を設置しています。なお、社外取締役につきましては、2019年6月末に当社の株主総会を経て、3名に増員しています。

このような経営陣が実効性のあるスチュワードシップ活動に必要とされる組織構築や人材育成などの各課題に取り組んでいます。

<スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価>
この「『日本版スチュワードシップ・コード』の受け入れについて」に記載した取り組みを一段と深化させるため、自らのガバナンス態勢・利益相反管理や、本コードの各原則の実施状況を定期的に振り返り、自己評価を行っています。

その内容は、上述した「スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価」としてホームページ上に公表していますが、自己評価に加え、コードの原則毎に、スチュワードシップ活動の取組内容(投資先企業との主な対話事例を含む)を具体的に記載しています。

スチュワードシップ活動の振り返りと自己評価

  1. ICGN
    International Corporate Governance Network。効率的な市場と持続的な経済の促進に向け、実効的なガバナンスの構築と投資家のスチュワードシップの醸成を目的としている。ガバナンスやスチュワードシップに関する基準やガイドラインを設定するとともに、様々な支援・助言を行っている。

原則8

機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメントチェーン全体の機能向上に資するものになるよう努めるべきである

企業のサステナビリティ(中期的な持続可能性)の把握については、原則3に記載したとおり、当社独自のESG評価手法を活用しているため、スチュワードシップ活動において、主に活用する機関投資家向けサービス提供者は、原則2に記載した、利益相反の管理において活用する「議決権行使助言会社」のみとなります。

議決権行使助言会社との対話においては、その組織体制や利益相反管理体制について確認するとともに、議決権行使助言会社が助言方針の策定及び改訂を実施する時には、その背景にある考え方などについて意見交換を行うよう努めます。