金融市場NOW

ブレグジット後のBOEの金融政策に注目

2020年01月29日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

長引くブレグジット問題の影響もあり、英国の景気は伸び悩む

  • EU離脱(ブレグジット)問題の影響や米中貿易摩擦による世界的な貿易の停滞等の影響もあり、英国の経済成長率は伸び悩む。
  • この2年間、英国金融市場はブレグジット問題の影響を大きく受けてきた。2020年1月末のブレグジット後、BOEの金融政策がどのように変化するかに注目。

ブレグジット問題の影響から景気は低迷

グラフ1:英国GDPの推移

  • 出所:英国国立統計局のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

長引くブレグジット問題の影響を受けて英国景気の低迷が続いています。最近発表された英国のGDP(国内総生産)は前年同期比1.1%増と、2017年3月のEU(欧州連合)離脱表明以降同2%を概ね下回る状態が継続しており【グラフ1】、景気が上向く兆しは見えてこない状況です。また、購買担当者の景況感を表すPMI(購買担当者景況感指数)は好不況の分かれ目とされる50を下回る状況が製造業で9ヵ月続いており、購買担当者の景況感は低迷しています。イングランド銀行(BOE:英国中央銀行)の委員からも「経済指標次第ではあるものの、利下げをすべきではないか」との声が大きくなりつつあります。また、カーニーBOE総裁はさらなる金融緩和策を導入する利点について金融政策委員会で協議している、と発言しています。その発言を受けて、市場からは、次の一手は利下げではないかとの声も聞こえてきました。

英国金融市場はEU離脱で上下に振れる展開

英国金融市場は合意なき離脱の可能性が高まるとリスク回避姿勢の強まりから株安・金利低下・ポンド安が進行し、可能性が低くなるとその巻き戻しが入るという動きを繰り返してきました。1月9日英国下院において「EU離脱法案」が可決され、1月31日のブレグジットがほぼ確実なものとなりました。2020年12月31日までに新たな貿易協定の締結を目指すことになりますが、わずか1年では困難であるとの見方が大勢を占めています。今回可決された法案は離脱期限の延長を認めないものとなっており、交渉期限である2020年12月31日までに貿易協定の締結に至らない場合、合意なき離脱とほぼ同様の影響があるとも言われています。交渉期限が近づくにつれ、市場は警戒心を高めていくものと思われます。

今後の金融政策に注目

グラフ2:英国10年国債金利と政策金利の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

BOEは2018年8月に利上げをした後、ブレグジット問題の先行き不安等を背景に11会合連続で政策金利を0.75%で据え置いてきました【グラフ2】。ブレグジット問題の先行きが見えてきたことで、BOEは声明文でやや引き締め的な金融政策が適当としていますが、低水準で推移するGDPや低迷する小売売上高等を受けて、市場では利下げ観測が高まりつつあるようです。利上げか利下げか、今後のBOEの金融政策に注目が集まるものと思われます。

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