金融市場NOW

良好な欧米の景況感と低迷する日本の景況感

2021年05月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ワクチン接種が進展すれば、日本の景況感も改善する可能性も

  • 欧米の総合PMIが好不況の節目と言われる50を上回る一方で、日本の総合PMIは50を割り込む。
  • ワクチンの接種進展により行動制限が解除されつつある欧米と、緊急事態宣言中である日本でサービス業の景況感に大きな差。
  • ワクチン接種が進展すれば、日本の景況感は改善する可能性が高いとみられる。

欧米と日本で景況感が大きく異なる

グラフ1:日米欧の総合PMIの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

IHSマークイットが21日に発表した5月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は68.1と4月の63.5から4.6ポイント上昇し、データが取得可能な2009年以降で最高水準となりました。また、ユーロ圏の総合PMIも56.9と4月の53.8から3.1ポイント上昇し、約3年ぶりの高水準となっています。一方で、日本の総合PMIは48.1と4月の51.0から2.9ポイント低下し、再び好不況の節目とされる50を割り込みました(グラフ1)。

欧米では製造業・サービス業ともに改善

グラフ2:日米欧のサービス業PMIの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米国は製造業PMIが61.5(前月比+1.0)、サービス業PMIが70.1(同+5.4)、ユーロ圏は製造業PMIが62.8(同-0.1)、サービス業PMIが55.1(同+4.6)と50を大きく上回る水準となっています。特にサービス業PMIの改善幅が大きくなっており(グラフ2)、新型コロナウイルスワクチンの接種進展を受けて、行動制限が徐々に解除されつつあることから、レストランやバーなどの対面サービス業を中心に景況感の改善が進んでいるとみられます。

日本はサービス業の低下が目立つ

総合PMIが再び50を下回った日本では、製造業PMIは53.1(前月比-1.2)と50を上回った一方、サービス業PMIが45.7(同-3.8)と50を下回る水準となりました(グラフ2)。5月は3度目となる緊急事態宣言が発令されている最中であり、外出自粛や飲食店の時短営業の要請等を受けてサービス業の景況感に悪影響を及ぼしたものと思われます。サービス業の改善が進まない場合には、2021年4~6月期のGDP(国内総生産)がマイナスとなり、再び景気後退期に入る可能性もありそうです。

日本の景況感も改善が期待される

欧米のサービス業景況感の大幅な改善にはワクチン接種の進展が影響しているとみられます。日本でも米モデルナ製、英アストラゼネカ製のワクチンが緊急承認されたことから、会場や接種の担い手の確保など課題はあるものの、今後ワクチン接種が進展することが期待されます。ワクチン接種が進展すれば、低迷している日本のサービス業景況感が改善し、総合PMIも改善する可能性が高いものと思われます。

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