金融市場NOW

今年の景気回復を左右するワクチン接種率

2021年01月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月までのレポートはこちらから

金融市場ラインマーカー

注目されるイスラエルのワクチン普及率と新規感染者数

  • 欧米でワクチン接種が開始され、米バイデン大統領はワクチン普及の加速に取り組むことを表明。
  • ワクチン普及で先行するイスラエルの今後の感染状況が世界的な景気回復の試金石として注目される。ワクチン普及が加速し感染者数抑制に成功すれば、世界的に景気回復が一気に進む可能性も。

米英を中心に進むワクチン接種

昨年12月より米英で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。感染者数を抑制し、経済活動を正常化する有力な手段としてワクチン普及への期待が高まっています。

バイデン新政権が発足した米国では、14日にバイデン⼤統領が、新型コロナウイルス感染対策を含む約1.9兆ドルの経済支援策「米国救済計画」を発表しました。「国防⽣産法」などを発動し、ワクチン接種を加速させるため⺠間企業に物資調達を促すことなどが対策に含まれており、就任100日間で1億人にワクチン接種を行う目標を掲げています。トランプ政権では、昨年12月末までに2,000万人の接種を目標としましたが、接種に係る各州の予算不足等から体制が整わず、大幅に目標を下回りました。バイデン大統領はワクチン接種に係る予算として、州などへの補助金を含め約200億ドルを充てるとしています。

ワクチン普及の遅れで経済成長率は半減

グラフ1:米国実質GDP成長率(年率換算)の見通し

  • 出所:The Conference Boardのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

バイデン大統領がワクチン接種を急ぐ背景には、ワクチン接種率が、景気回復を大きく左右すると見られていることにあるようです。5日に世界銀行が公表した2021年の世界経済成長率見通しは+4.0%とされましたが、ワクチン普及に遅れが出る場合は、+2.0%程度に留まることが示されました。また13日に米コンファレンスボードが公表した米国経済見通しのベースシナリオは、2021年初旬に感染拡大がピークを迎え、ワクチン普及スピードが加速し、8月頃には経済活動が概ねコロナ前の水準まで回復するとしています。2021年7~9月の実質GDP(国内総生産)成長率は年率換算で+6.1%まで加速すると見込まれており、遅れているワクチン普及の進展が本格的な景気回復の前提条件となっています(グラフ1)。

ワクチン普及で先行するイスラエルが試金石?

グラフ2:各国のワクチン接種率と新規感染者数

  • 出所:Our World in Dataのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

今年の経済成長率を占う上で、投資家の間ではワクチン接種率の高いイスラエルが注目されています。イスラエルでは昨年12月中旬よりワクチン接種を開始し、直近の接種率は約34%となっています(グラフ2)。同時期に接種開始した米英と比較しても大幅に先行しています。現時点で、イスラエルの1日あたりの新規感染者数が明確に減少傾向となったとまでは言い切れない状況です。ワクチン接種率がどの程度進めば、新規感染者数が抑制され、経済活動の正常化が可能となるのかなど、イスラエルの感染状況が一定の試金石になると思われます。世界各国でロックダウン(都市封鎖)など再び経済活動の制限が続いていますが、ワクチン普及が加速し感染者数を抑制することができれば、景気回復が一気に進むことも想定されます。ワクチンの早期普及には、製造能力や物流など課題も残りますが、今後数カ月で、どの程度進展するのかに市場の注目が集まるものと思われます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。