金融市場NOW

法人企業統計 経常利益は増加

2016年12月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

設備投資には慎重姿勢 14四半期ぶりのマイナス

  • 2016年7~9月期の全産業の経常利益は前年同期比11.5%増と4四半期ぶりの増加。
  • 設備投資は前年同期比で減少。14四半期ぶりのマイナス。円高による製造業の利幅減少が影響か。
  • 企業収益は最悪期を脱したという見方も。業績回復とともに設備投資の回復が期待される。

グラフ1:経常利益(前年同月比)は4四半期ぶりのプラス

経常利益(前年同月比)は4四半期ぶりのプラス
出所:財務省「法人企業統計」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

財務省が12月1日に発表した2016年7~9月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融業・保険業を除く)の経常利益は非製造業の大幅な伸びが寄与したことから、前年同期比11.5%増と4四半期ぶりの増加を示し、7~9月としては過去最高となりました(グラフ1)。設備投資は同1.3%減の10兆3,521億円で14四半期ぶりのマイナスとなりました。

経常利益の内訳は、非製造業は同24.5%増と3四半期ぶりのプラス、製造業は12.2%減と5四半期連続のマイナスとなりました。非製造業では、個人消費の低迷やインバウンド需要の鈍化などを受けて卸売・小売業が3四半期連続の減益となったものの、サービス業が急増となったことが全体を押し上げました。製造業では、鉄鋼や生産用機械などの大幅減益が全体の押し下げ要因となりました。

設備投資の内訳を見ると、製造業は同1.4%減、非製造業は1.3%の減となっています(グラフ2)。製造業は円高による利幅減少等により前年比減益が続いていること等が影響し、非製造業は前年の建設業や情報通信業の反動減が大きく、インバウンド需要向けのホテル建設や鉄道整備の増加で補いきれなかったこと等が影響したようです。

足元の為替相場は、9月の日銀短観の想定為替レートから大幅に円安(対米ドル)が進行しており(グラフ3)、企業収益は最悪期を脱しつつあると言えるかもしれません。また、設備投資は慎重姿勢が続いていますが、今後は企業収益の回復とともに持ち直しに向かうものとみられます。

グラフ2:設備投資は製造業・非製造業ともにマイナス

設備投資は製造業・非製造業ともにマイナス
出所:財務省「法人企業統計」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:想定為替レートよりも大幅に円安が進行

想定為替レートよりも大幅に円安が進行
出所:「日銀短観(9月調査)」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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