金融市場NOW

ビジネス環境ランキング ~日本は下落~

2016年11月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

34位に下落 政府の目標さらに遠のく

  • 世界銀行が発表した『2017年ビジネス環境ランキング』で日本は昨年よりさらに順位を落とす結果に。
  • 政府の支援は大企業向けが主であることも、依然として順位が低い要因か。
  • 起業意欲のある人を積極的にサポートする政府の支援が求められる。

世界銀行が10月25日に世界190ヵ国・地域のビジネスのしやすさを順位付けした『2017年ビジネス環境ランキング※』を発表しました(表1)。日本は34位となり前年の32位(改定値)より順位を2つ落とし、安倍政権が掲げる「2020年までに先進国で3位」との目標からさらに遠のくこととなりました。規制緩和などのもう一段の制度改革に迫られそうです。

1位となったニュージーランドは「起業のしやすさ」や「資金調達」など5項目でトップとなりました。日本は「起業のしやすさ」が89位と大きく後れをとり、また日銀の大規模な金融緩和が継続するにも関わらず「資金調達」は82位で「税の支払い」は70位、「建設許可の取りやすさ」は60位にとどまりました。一方、「破たん処理」は2位、「電力供給」は15位と健闘しました。

日本の順位が依然として低いのは、安倍政権が常に力を入れるのは日本経済団体連合会に加盟する大企業の支援などが中心であることも要因の1つとしてあげられるかもしれません。世界銀行がランク付けにあたり重視しているニュービジネスの起業や、中小企業の事業環境整備への支援に関しては積極的に対策がなされていないのが現状です。「総合起業活動指数(TEA)」という起業意欲を示す指標で見ても、日本の起業力は他国と比較して見劣りしていることがわかります(グラフ1)。

「起業したい」という人々が積極的にチャレンジできるよう、政府によるより柔軟な政策が求められる時が到来しているのかもしれません。

  • 「新規参入」「建設許可の取りやすさ」「電力供給」「不動産登録」「資金調達」「投資家保護」「税金の支払い」「海外貿易事情」「契約履行」「破綻処理」の10の項目を分析し、毎年ランキングを発表。

表1:日本はビジネス環境において出遅れが見られる

※ビジネス環境ランキング(2017年)
出所:世界銀行のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
順位 国・地域 前年順位
1 ニュージーランド 1
2 シンガポール 3
3 デンマーク 2
4 香港 5
5 韓国 4
6 ノルウェー 8
7 英国 6
8 米国 7
9 スウェーデン 9
10 マケドニア 16
34 日本 32

グラフ1:日本の起業力は他国と比較しても低い

日本の起業力は他国と比較しても低い
※総合起業活動指数(TEA)*(2014年)
*1:18~64歳人口に占める起業活動をしている者の割合。18~64歳人口100人に対する率で示される。
*2:主要先進国(G7)とBRICs諸国で比較。
出所:The Global Entrepreneurship Monitor (GEM)のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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