金融市場NOW

金利上昇とデンマーク・カバード債券の状況について

2021年06月01日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場ラインマーカー

足元の欧米の長期金利の動向について

  • 米国バイデン政権の追加経済対策等による景気回復期待や経済活動の再開にともない、2021年後半にかけてインフレ圧力が高まるとの見方から、年初は1.0%割れの水準であった米長期金利は、一時1.7%台後半まで上昇しました。しかし、雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回ったことや多くの米連邦準備制度理事会(FRB)の理事がほぼ一貫してインフレ率の上昇は一過性とする発言等を受けて、足元では1.6%前後での推移となっています。
  • 欧州長期金利(ドイツ10年国債利回り)も、欧州中央銀行(ECB)による資金供給策の縮小が意識されたことや、独仏などで新型コロナウイルスワクチン接種が進展し、景気回復期待が高まっていることなどを背景に緩やかな上昇基調で推移してきました。しかし、ラガルド総裁ら、ECBの複数の理事が早期のテーパリング(量的緩和策縮小)へのけん制発言を行ったことから、一時マイナス0.1%を超える水準まで上昇した欧州長期金利は足元ではマイナス0.2%前後での推移となっています(グラフ1)。

グラフ1:欧米の国債とデンマーク・カバード債券の推移

  • 出所:ブルームバーグ等のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  • デンマーク・カバード債券:ニクレディトDMBトータルリターンインデックス(現地通貨ベース)
  • 米国国債、ドイツ国債:FTSE世界国債インデックスの各国国債インデックス(トータルリターン、現地通貨ベース)
2020年12月末 2021年5月末 騰落率
デンマーク・カバード債券 101.34 97.19 -4.1%
ドイツ国債 99.52 96.26 -3.3%
米国国債 102.74 99.37 -3.3%

デンマーク・カバード債券の足元の状況

  • デンマーク・カバード債券のスプレッド(国債に対する上乗せ金利)は拡大していないことから、足元のデンマーク・カバード債券の下落は、欧米を中心とした世界的な国債利回りの上昇が主な要因と考えられます。
  • 欧州長期金利(ドイツ10年国債利回り)は、5月月初より上昇基調を強め、5月13日の取引時間中に一時マイナス0.1%を上抜け、2019年5月以来の水準まで上昇したことなどから、デンマーク・カバード債券の利回りもドイツ国債に連れて上昇しました(価格は下落)。
  • クーポン別にデンマーク・カバード債券の動向をみると、2.0%債、1.5%債に比べて相対的にデュレーションが長い1.0%債の下落が大きくなっています(グラフ2)。
  • デンマーク・カバード債は、一般に、金利上昇局面では期限前償還が減少するため、デュレーションが長くなるという特性があります。金利上昇が加速する中で、デンマーク・カバード債券のこの特性がマイナスとなり、国債と比較して低クーポン債を中心に大きく価格が下落しました。
  • 長期金利の急ピッチな上昇に対しECBが警戒感を示したことなどが好感され、月末にかけて欧州長期金利は低下に転じ、デンマーク・カバード債券も買い戻しの動きが見られてます。
  • 金利の変動に対する債券の価格変動の大きさを表す。一般に、デュレーションが長い債券ほど金利の動きに対する債券価格の感応度は大きくなる。

グラフ2:クーポン別デンマーク・カバード債券価格の動向

  • ※ニクレディト・レアルクレディト(2050年10月償還)クーポン別デンマーク・カバード債券価格の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

債券運用チームによるデンマーク・カバード債券の今後の見通しについて

  • 経済活動の正常化にともなうインフレ懸念を背景に、世界的に金融緩和政策の出口が意識され始めています。
  • しかし、FRBは「インフレは一過性」との立場を貫いていることから、テーパリングの検討を始めるとしても、開始時期やその方法については慎重に進められることが予想されます。また、ECBのラガルド総裁も“(コロナ禍への緊急対応策である)資金供給策縮小の議論は時期尚早”と緩和姿勢の継続を強調していることなどから、ECBの金融政策によるサポートは引き続き期待でき、今後の欧州長期金利の上昇余地は限定的であると思われます。
  • 当面、欧米ともに慎重に金融政策の運営を行っていくことが想定され、テーパリングに対するマーケットの過度な警戒感は徐々にはく落し、欧米の長期金利は上下に振れやすい展開から徐々に落ち着きを取り戻すことが想定されます。
  • 欧州長期金利の上昇を受け、住宅ローン金利も上昇しました。金利上昇局面では期限前償還リスクの低減が期待されます。また、一般的に、新規・借り換えともに住宅ローンの件数が減少するため、今後、デンマーク・カバード債券の発行量は徐々に抑制されていくとみられます。
  • 金利上昇が落ち着きを取り戻せば、デンマーク・カバード債券市場は需給環境が改善され、次第に底堅く推移していくものと思われます。

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