金融市場NOW

貿易収支 2ヵ月連続で改善

2020年07月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

主要国の経済活動再開にともない、輸出に改善の兆し

  • 財務省が発表した2020年6月の貿易収支は2,688億円の赤字となった。
  • 主要国の経済活動の再開にともない、中国向けを中心に輸出の改善が見られた。
  • 今後コロナ禍が落ち着けば、貿易収支の改善を受け為替は円高方向に動くことも予想される。

赤字額は縮小するも3ヵ月連続の貿易赤字

グラフ1:貿易収支は3ヵ月連続の赤字

  • ※貿易収支(輸出額-輸入額)の推移
  • 出所:CEICのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

7月20日に財務省が発表した2020年6月の貿易収支(速報値、通関ベース)は2,688億円の赤字となりました。新型コロナウイルスの感染拡大により、各国で経済活動が制限されていた4月以降から赤字額は縮小したものの、3ヵ月連続の貿易赤字です(グラフ1)。輸出額は4兆8,620億円(前年同月比-26.2%)、輸入額は5兆1,309億円(同-14.4%)となりました。

経済活動を早期に再開した中国向け輸出が好調

グラフ2:中国向け輸出を中心に改善が見られる

  • ※主要国・地域の輸出(前年同月比)推移
  • 出所:CEICのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

主要国のロックダウン(都市封鎖)による経済活動の停滞を受け、5月に大きく落ち込んだ主要国・地域向けの輸出は、6月はやや改善が見られました。中でも輸出全体の約26%を占める中国向けの改善が顕著で、前年同月比で-8.7%まで落ち込んだ3月から3ヵ月連続での回復となっています(グラフ2)。早期の経済活動の再開にともない、非鉄金属(同+71.8%)や加熱・冷却装置(同+59.2%)などの工業関連製品の輸出が大きく伸びました。

貿易収支の改善が為替相場を動かす要因に

グラフ3:足元の円相場は107円台前半で推移

  • ※円相場(対米ドル)の推移(逆目盛り)
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

二国間の貿易量(額)を示す貿易収支は為替相場を見る上で、重要な指標の1つとされます。しかし、金融危機時などでは、貿易収支と為替の相関が見えづらくなるようです。
経済活動の再開による投資家のリスク選好姿勢の高まりなどから、6月5日に109.59円まで円安となった円相場ですが、足元では107円台前半まで戻して推移しています(グラフ3)。感染第2波への懸念などにより、再びリスク回避姿勢が高まったことが主な要因であると考えられます。
当面は、感染再拡大の動向などが為替相場に大きく影響するものとみられますが、今後コロナ禍が落ち着けば、貿易収支の改善を受け為替は円高方向に動くことも予想されます。

  • 貿易収支の改善は、輸出代金として相手国から受け取る円が増える(外貨売り円買い)ので、円高傾向になります。

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