金融市場NOW

銀行の国債保有額減少が顕著に

2017年07月11日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

銀行が保有する国債が減少。今後の金利動向への影響も

  • 銀行の保有する国債残高が比較可能な2005年以降で最低を更新。
  • 銀行が残高を減らす中、海外投資家による国債の保有額が増加している。
  • 日銀、海外投資家による国債の保有額増加、銀行の国債保有額減少は、欧米の金利が上昇傾向にある中、今後の国内金利の動向に影響を及ぼすことも想定される。

日銀が6月27日に発表した資金循環統計によると、銀行が保有する国債残高の減少傾向が顕著となっています。銀行全体の国債の保有比率は、ピーク時頃の2012年3月末の約40%から2017年3月末時点には18.7%へと低下しています。また、異次元緩和政策導入以降国債保有を増やした日銀の比率は2012年3月末の9.6%から、39.5%(2017年3月末)まで上昇しています。海外投資家もリーマン・ショック以降保有比率を増加させています(グラフ1)。

国内銀行の月次の国債保有額は異次元緩和政策導入後減少し、2012年3月末に171.0兆円であった保有額は、2017年5月末時点で80.8兆円まで減っています(グラフ2)。保有国債の満期償還後にマイナス利回りの国債を新たに購入しにくいことや、金融庁が銀行が保有する債券の金利変動リスクに備えるための規制を見直し、過剰な金利リスクを取る運用から融資や企業再生支援などの事業を促す姿勢を示していることが保有残高減少の背景にあるようです。

長短金利操作付き量的・質的金融緩和が導入される中、銀行保有の国債の日銀の買い取りにより市場での流通量が減少し、流動性が低下しています。欧米では金融緩和の縮小が意識され金利が上昇傾向となっています。これまで保有を増やして来た海外投資家の動向によっては金利が大きく変動することも想定されます。

グラフ1:投資主体別国債保有比率

投資主体別国債保有比率
出所:日銀統計のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:国内銀行の国債保有残高

国内銀行※の国債保有残高
※文章、グラフ上の銀行は農林水産金融機関等を含む。ただし※が付く国内銀行は農林水産金融機関等を除く。 出所:日銀統計のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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