金融市場NOW

6月末の銀行貸出金残高伸び率過去最高

2020年07月15日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

日銀の資金繰り支援策の開始等が影響か

  • 2020年6月末の全国の銀行の貸出金残高の伸び率は前年同月末比6.8%増と、過去最高を更新。日銀による「新たな資金供給手段」の開始等が要因か。
  • 日銀短観(2020年6月調査)での企業の資金繰り判断は大きく悪化。日銀の支援策や経済活動の再開等を背景に、企業の資金繰り判断が改善することが期待される。

(1)全国の銀行の貸出金伸び率過去最高

2020年6月末の全国の銀行の貸出金残高は535兆4,076億円で、前年同月末比33兆9,388億円、6.8%増えました。伸び率は同6.4%増だった5月に続き、2カ月連続で過去最高を更新しました(グラフ1)。都市銀行の伸び率は同9.4%増で、地方銀行の同5.3%増を上回りました(グラフ2)。

グラフ1:全国の銀行の貸出金残高と伸び率

  • 出所:ニッセイ基礎研究所データをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:都市銀行と地方銀行の貸出金残高伸び率

  • 出所:ニッセイ基礎研究所データをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

(2)貸出金急増の背景

5月、6月の貸出金急増の背景には、新型コロナウイルス対策として、以下のような資金繰り支援策が開始されたことがあると思われます。

  1. 第一次補正予算に盛り込まれた民間金融機関による実質無利子・無担保の特別貸付制度が5月に開始されたことや、第2次補正予算成立を受け、6月に融資上限額の引き上げ等の拡充が図られたこと
  2. 日銀が5月の臨時会合で決定した約30兆円規模の「新たな資金供給手段」(注)が6月から開始されたこと
    • 民間金融機関による無利子・無担保や信用保証の付いた融資等を対象に、期間1年以内、金利ゼロ%で供給し、更に金融機関が日銀に預け入れる当座預金に0.1%の金利を付与する制度。尚、6月の定例会合では、他の2つのスキームとの合計で約75兆円とされていた「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」の規模を110兆円超に拡大することが決定された。

(3)企業の資金繰り判断

グラフ3:資金繰り判断DI(全産業)

  • 出所:日銀データをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

新型コロナウイルスの感染拡大等の影響で、企業の資金繰り判断が悪化しています。7月1日に発表された日銀短観(2020年6月調査)によると、資金繰り判断DI(「楽である」-「苦しい」)(全産業)は、全規模(大企業・中堅企業・中小企業)で大きく悪化し、特に中小企業は-1と、「苦しい」が「楽である」を上回る状態となっています(グラフ3)。日銀の支援策や経済活動の再開等を背景に、企業の資金繰り判断が改善することが期待されます。

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