金融市場NOW

日銀短観(2019年3月調査)の概要

2019年04月04日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

海外景気の減速の影響がより鮮明に

日本銀行が4月1日に発表した2019年3月の全国企業短期経済観測調査(短観、3月調査)は、米中貿易摩擦や海外景気の減速等を受け、大企業製造業が市場予想を超える悪化となりました(表1)。悪化幅は2012年12月以来、6年3ヵ月ぶりの大きさとなっています。以下、ポイントです。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)は、前回調査から7ポイント低下のプラス12となり、2四半期ぶりの悪化。はん用機械や非鉄金属、石油・石炭製品の悪化が目立つ。中国をはじめとする世界経済の悪化の影響が鮮明となった。先行きについてもさらなる低下を見込む。
  2. 大企業非製造業のDIはプラス21と前回調査から3ポイント低下。人件費の高騰や人手不足の影響を受け、卸売や運輸・郵便の悪化が目立った。
  3. 雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス35と前回調査から横ばい。全規模において、人手不足の深刻化は継続している。先行きについてもマイナスの拡大が見込まれている(グラフ1)。
  4. 2019年度の設備投資計画は、大企業製造業で前年度比6.2%増、非製造業では同マイナス1.6%となる。人手不足を背景とした省力化への投資需要は引き続き追い風となるとみられるものの、これまで順調であった設備投資にやや慎重な姿勢がみられている。
  5. 想定為替レートは2019年度通年で108.87円とし、現在の米ドル円相場からさらなる円高を想定しており、企業の円高への警戒感は依然として強いとみられる(表2)。

表1:業況判断DI(2019年3月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

  • (*1)2018年12月調査比 (*2)2019年3月(最近)比
  • 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2018年12月調査 2019年3月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 19 12 -7 8 -4
非製造業 24 21 -3 20 -1
全産業 21 17 -4 14 -3
中堅企業 製造業 17 7 -10 3 -4
非製造業 17 18 1 12 -6
全産業 17 13 -4 9 -4
中小企業 製造業 14 6 -8 -2 -8
非製造業 11 12 1 5 -7
全産業 12 10 -2 2 -8

グラフ1:企業の人手不足感は継続

  • ※雇用人員判断DIの推移(いずれも全産業)
  • * 2019年3月までは「最近」の数値、2019年6月は2019年3月短観の「先行き」の数値
  • 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

表2:製造業の円高への警戒感は強い

(円/ドル)

  • ※事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)
  • 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2018年度 2019年度
  上期 下期
2018年12月調査 109.41
2019年3月調査 109.50 108.87 108.80 108.93

【参考レポート】日銀短観(2018年12月調査)の概要(金融市場NOW 2018年12月18日号)

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