金融市場NOW

日銀短観(2018年3月調査)の概要

2018年04月06日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

原材料高が影響。景況感8四半期ぶりの悪化

日本銀行が4月2日に発表した2018年3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、これまで改善が続いてきた企業の景況感が頭打ちとみられる結果となりました。原油をはじめとする原材料価格の高騰に加え、米中貿易戦争への懸念や円高進行等により景況感が悪化したものとみられます。市場での注目度が高い、大企業製造業の2018年度の想定為替レートは109.66円と足もとの相場より円安に想定されており、今の為替水準が継続した場合、企業収益の押し下げ要因となることも考えられそうです。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)は8四半期ぶりに悪化し+24で、2017年12月の前回調査から2ポイントの悪化。原材料高の影響が出やすい化学や鉄鋼が9ポイント悪化、一方、海外からの需要が底堅く、半導体関連向けが好調であった生産用機械は8ポイント改善。製造業全体の先行きは4ポイントの悪化を見込んでいる(表1、グラフ1)。
  2. 大企業非製造業のDIは+23と前回から2ポイント悪化、悪化は6四半期ぶり。人手不足による人件費の増加や、原材料高による仕入れ価格の値上がりが収益を圧迫。電気・ガスは7ポイントの悪化。非製造業全体の先行きも3ポイントの悪化を見込んでいる(表1、グラフ1) 。
  3. 雇用判断DIは人手不足感の一層の強まりを示しており(グラフ2)、大企業製造業は-18となり、マイナス幅が5ポイント拡大し不足感が高まった。非製造業もマイナス幅が2ポイント拡大し-28、中小企業を中心にバブル経済末期に匹敵する水準となっている。
  4. 設備投資計画は堅調。大企業製造業の2017年度の設備投資計画は2016年度に比べ7.3%増加。前回から3.0ポイント下方修正したものの例年に比べて高い水準を維持。2018年度は4.9%の増加を見込む。

業況判断DI(2018年3月)

「良い」-「悪い」、ポイント

(*1)2017年12月調査比(*2)2018年3月(最近)比 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2017年12月調査 2018年3月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 26 24 -2 20 -4
非製造業 25 23 -2 20 -3
全産業 26 23 -3 20 -3
中堅企業 製造業 20 19 -1 14 -5
非製造業 20 21 1 16 -5
全産業 19 20 1 15 -5
中小企業 製造業 15 15 0 12 -3
非製造業 9 10 1 5 -5
全産業 11 11 0 7 -4

グラフ1:企業の景況感は頭打ちか

※大企業および中小企業の業況判断指数の推移 ※2018年6月は2018年3月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:人手不足は引き続き深刻

※大企業および中小企業の雇用人員判断DIの推移 ※2018年6月は2018年3月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

【参考レポート】日銀短観(2017年12月調査)の概要(金融市場NOW 2017年12月19日号)

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。