金融市場NOW

日銀短観(2017年12月調査)の概要

2017年12月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

景況感回復のすそ野が広がる中で人手不足が一段と深刻に

日本銀行が12月15日に発表した2017年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、景況感回復のすそ野の広がり、人手不足の深刻化、慎重な先行き見通し等が確認されました。企業の17年度の想定為替レートは前回9月調査(以下、前回)より約90銭円安・ドル高の1ドル110円18銭となっています。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)は+25と、前回から3ポイント上昇し、5四半期連続の改善。水準は2006年12月以来の高さ。業種別では16業種中、10業種で業況が上向いた。大企業非製造業は、+23と前回から横ばい。12業種中、6業種が改善。3カ月後の先行き見通しは、大企業・製造業が6ポイント悪化の+19、非製造業が3ポイント悪化の+20と慎重な見方。人手不足による収益悪化や海外情勢への不安等が背景にあると見られている(表1、グラフ1)。
  2. 中小企業も景況感の改善が継続 。製造業は+15と5ポイント、非製造業は+9と1ポイント、全産業は+11と2ポイント改善した。大企業の回復が下請け企業である中小企業にも及んでいる(表1、グラフ1)。
  3. 雇用人員判断DI(雇用人員「過剰」-「不足」、ポイント)は製造業で大企業が-13、中小企業が-26、非製造業で大企業が-25、非製造業が-39と 、前回に比べそれぞれマイナス幅が拡大した。中小企業を中心に人手不足が一段と深刻化している(グラフ2)。人手不足等を背景に中小企業非製造業のDIの先行き見通しは+5と2017年3月以来の低さとなっている(表1、グラフ1)。
  4. 全規模全産業の2017年度の設備投資計画(含む土地投資額、除くソフトウエア投資額・研究開発投資額)(前年度比)は+6.3%と前回調査から1.6%上方修正された。

表1:業況判断DI(2017年12月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

(*1)2017年9月調査比、(*2)2017年12月(最近)比
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2017年9月調査 2017年12月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 22 25 3 19 -6
非製造業 23 23 0 20 -3
全産業 23 25 2 19 -6
中堅企業 製造業 17 19 2 14 -5
非製造業 19 20 1 14 -6
全産業 18 19 1 14 -5
中小企業 製造業 10 15 5 11 -4
非製造業 8 9 1 5 -4
全産業 9 11 2 7 -4

グラフ1:景況感の改善は継続するも先行きは慎重姿勢か

景況感の改善は継続するも先行きは慎重姿勢か
※大企業および中小企業の業況判断指数の推移 ※2018年3月は2017年12月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:中小企業を中心に引き続き人手不足は深刻

中小企業を中心に引き続き人手不足は深刻
※大企業および中小企業の雇用人員判断DIの推移 ※2018年3月は2017年12月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

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