金融市場NOW

クールジャパン着々と進む、日本経済活性化へ期待

2016年11月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
  • 日本再興戦略の「クールジャパン」事業で日本の魅力を世界へ発信
  • 海外で緑茶などの和食や伝統・地域文化、生活など日本への関心が高まる
  • 海外への輸出増加と訪日外国人旅行者の消費拡大で日本経済の活性化を期待

現在、日本の魅力を海外に発信していく「クールジャパン」事業(表1)や訪日観光客の増加などにより、緑茶・ラーメンなどの食品や伝統・地域文化、各種コンテンツ(アニメ・ゲームなど)等の様々な分野で日本への関心が高まっています。この「クールジャパン」事業の柱のひとつに、日本の食文化・食産業の海外進出があり、その中で日本茶「緑茶」カフェの展開が企画されています。

緑茶は様々な疾患を軽減する可能性があるとの研究結果が国内外で公表されており、健康重視の食生活に関心が高まる中、海外でも飲む人が増えているようです。健康食品としての人気の高まりから緑茶の輸出は年々増加しており、昨年は100億円を超えています(グラフ1)。2015年の輸出先を国別でみてみると、最も多い輸出先がアメリカで、次がドイツとなっています(表2)。これは、健康への意識に加えて、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたこと、「クールジャパン」事業の一環として緑茶専門店をアメリカに展開し始めたことなどが背景にあると思われます。また、日本でも人気のアメリカの大手コーヒーチェーンがアメリカなど複数の国で販売するなど、日本を代表する食文化のひとつである緑茶が、海外でも日常的な飲み物として広まりつつあるようです。

「クールジャパン」事業では、緑茶を含む農林水産物・食品の輸出額を約4,500億円(クールジャパン策定時、2012年)を2020年に1兆円にするとの目標を掲げており、昨年(2015年)には約7,451億円となるなど成果が出ています。日本文化が世界へ広がり、訪日外国人旅行者数の増加による国内での消費拡大という波及効果も伴って、日本経済の活性化が期待されます。

表1:主なクールジャパン事業(2016年8月時点)

※他にも飲食を含む多くの日本(文化・コンテンツなど)を発信する事業が企画されています
出所:経済産業省のHPのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
主なクールジャパン事業 内容
日本茶カフェ 米国でのお茶ブームを活用し日本茶を発信する(10年間で米国で50店舗展開を目指す)
日本の外食産業や小売企業の海外展開支援 (例)現地での食材製造を基にラーメン店を展開し、またその店舗を活用して多くの銘柄の日本酒や焼酎の販売を行う
ジャパンコンテンツのローカライズ 人気の高いアニメなどを多言語での動画配信を行う
日本の生活・地域・伝統文化等の発信 ネットや海外メディアを利用しての情報発信や実際に日本の商品の販売、日本各地をテーマにした物産展・文化行事を実施(ジャパンモール)

グラフ1:緑茶の輸出量と輸出金額の推移

緑茶の輸出量と輸出金額の推移
出所:農林水産省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

表2:緑茶輸出先上位の国(金額ベース,2015年実績)

出所:農林水産省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  国名 金額(千万円)
1 アメリカ合衆国 436.4
2 ドイツ 131.1
3 シンガポール 89.6
4 台湾 82.6
5 カナダ 42.1
6 香港 39.5
7 タイ 29.0
8 フランス 22.0
9 オーストラリア 22.0
10 マレーシア 21.5
11 オランダ 17.8
12 英国 12.2

グラフ2:農林水産物・食品の輸出額推移(金額ベース)

農林水産物・食品の輸出額推移(金額ベース)
出所:農林水産省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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