金融市場NOW

インフレ抑制のため、中央銀行の利上げは続く

2022年09月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

景気後退懸念が強まれば、債券への需要が高まることも

  • インフレ圧力の高まりを受けて、多くの主要国・地域の中央銀行の利上げは続く。利上げペースが早く、政策金利が高い米国、カナダ、豪州などドル圏の長期金利が相対的に高い。
  • パウエル議長は家計や企業に痛みを伴ったとしてもインフレ抑制を最優先する方針を改めて表明。利上げ長期化により、景気後退懸念が強まれば債券への需要が高まる可能性も。

世界的に利上げが継続中

ウクライナ危機の長期化などによるエネルギー価格・穀物価格の高騰や、物流網の混乱などを背景とした供給不足の影響から、足元のインフレ率は引き続き高水準となっており(グラフ1)、各国・地域の中央銀行の政策金利引き上げが続いています。9月も豪州(0.5%)、カナダ(0.75%)、欧州(ユーロ圏)(0.75%)が利上げを実施しており、今後、英国や米国でも利上げが実施される可能性が高いとみられています(グラフ2)。

グラフ1:米国・欧州の消費者物価指数の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要国の政策金利の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

利上げ加速によりドル圏の長期金利が高い

グラフ3:主要国の10年国債利回りの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

世界各国・地域の中央銀行は利上げを行い、インフレ抑制姿勢を強めているものの、欧州のインフレ率が1997年の統計開始以降で最高となるなど、インフレ圧力が収まる気配はありません。インフレ率が高止まりしていることから、各国・地域の中央銀行は今後も利上げを継続する方針を示しています。景気減速への懸念から一時低下した各国の長期金利は、足元では再び上昇基調となっており、利上げペースが加速しているドル圏の長期金利が欧州の長期金利よりも高い状態が続いています(グラフ3)。

FRBの最優先課題はインフレ抑制

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長はカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、「家計や企業に多少の痛みが伴ったとして、インフレ抑制を最優先」と発言したことから、インフレ率が落ち着くまでは利上げが継続される可能性は高いと考えられます。さらに、パウエル議長は早すぎる利下げに否定的な見方を示したこともあり、市場の一部にあった2023年内に利下げが実施されるとの見方が大きく後退しました。

米国では継続が見込まれるFRBの利上げの影響などから景気の減速が懸念されています。また、欧州ではウクライナ危機にともなうエネルギーの供給懸念の影響などから、今後の景気後退はほぼ確実との見方が強まりつつあります。世界的な景気後退への懸念がさらに強まれば、安全資産とされ、相対的に利回りの高い債券への需要が高まってくることも考えられます。

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