金融市場NOW

海洋プラスチック問題 国境を越えた取り組みが不可欠に

2022年06月29日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界的に環境保全やリサイクルへの意識が広がることに期待

  • 近年、海洋プラスチックは世界的な社会問題となっており、2022年3月の国連環境総会において、海洋プラスチックごみの根絶をめざし、国際条約の制定に向け交渉を開始することが決定された。
  • 米国は国を挙げてリサイクルへの取り組みを開始。世界各国・地域への環境意識の広がりが期待される。

増加する海洋プラスチックが世界的な問題に

グラフ1:プラスチックの年間生産量は年々増加

  • ※世界におけるプラスチックの年間生産量
  • 出所:Our World in Dataのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

海に大量に流入するプラスチックは、海洋汚染を引き起こし、また、生態系を壊す原因の1つとされており、近年、海洋プラスチックは世界的な社会問題となっています。2015年時点における世界のプラスチックの年間生産量は約4億トンにものぼり(グラフ1)、2040年には2倍になると予想されています。

  • 国連環境計画(UNEP)

2016年1月に開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)年次総会の報告書では、少なくとも年間800万トンものプラスチックごみが海洋に流入しており、このまま対策を講じなければ、2050年には海洋中のプラスチックの量が魚の量を超えるとしています。

国連環境総会(UNEA)は、2022年3月に行われた第5回会合において、海洋プラスチックごみの根絶をめざし、世界初の国際条約の制定に向け交渉を開始することを決定しました。

リサイクル意識が広がることが期待される

グラフ2:プラスチックのリサイクル率はわずか9%

  • ※世界における廃プラスチックの処理方法(2019年時点)
  • 出所:OECDのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

回収されたプラスチックのうち、リサイクルされるのはわずか9%で、ほとんどは埋め立てられたり海洋などに投棄されています(グラフ2)。

2021年11月、米国環境保護庁(EPA)は2030年までにリサイクル率50%に高めるため『国家リサイクル戦略』を発表しました。

同戦略は、リサイクル商品市場の改善などの5つの目標を掲げ、米国全体として環境負担が大きいとされるプラスチック製品などを含むリサイクル可能な商品の増加や、リサイクル過程での環境負荷の軽減をめざしています。

グラフ3:米国は世界最大のプラスチックごみ排出国

  • ※主要国プラスチックの排出量(2016年時点)
  • 出所:Statistaのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

カリフォルニア州では、飲食店でのプラスチック製使い捨てストローの提供を規制する法律が2019年1月より施行され、プラスチック製品の削減が進められています。

世界最大のプラスチックごみ排出国である米国が(グラフ3)、国を挙げてリサイクルに取り組み始めたことで、世界各国・地域の環境保全やリサイクルへの意識がいっそう広がることが期待できそうです。

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