金融市場NOW
先行投資が加速 デジタルヘルスケア企業の躍進に注目集まる
2023年02月22日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
超高齢化社会の課題解決にはヘルスケア産業のデジタル化が急務
- 国際連合によれば、2040年には先進国の人口の4人に1人が65歳以上になると予想されており、“超高齢化社会”の到来が見込まれています(グラフ1)。
- 医療費負担の増加や医療現場の労働力不足などの社会的な課題を解決するためには、ヘルスケア産業におけるデジタルテクノロジーの活用が急務であると考えられます。
- 患者の検査・診断・処置データなど、ヘルスケア領域で日々蓄積されるデータは大幅に増加しています(グラフ2)。コンピュータのデータ処理能力は飛躍的に向上しており(グラフ3)、AI(人工知能)も飛躍的に進化しています。従来、人の手を介して行われてきた検査・治療法の開発は、AI等の進化による高度化が期待されます。
- ヘルスケア産業におけるデジタル化の画期的な進歩は、新型コロナパンデミック(世界的大流行)の中でその重要性がますます高まっているとみられ、GPU(画像処理半導体)に強みを持つ米半導体大手エヌビディアは、『ヘルスケアが最大のデータ生成産業になりつつある』と発表しています。
コロナショックを転機に先行投資を拡大
- 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、医薬品等の販売に必要なFDA(米食品医薬品局)等の承認手続きの長期化や、承認から販売までの期間延長にともなう追加の開発費用の増加などから、多数の新薬開発が中断されました。
- 医療現場における労働力不足などの社会的な課題の解決のために、デジタルテクノロジーの活用が急がれるなか、近年、AIやビッグデータ解析、仮想現実(VR)などのデジタルテクノロジーをヘルスケア領域で活用する“デジタルヘルスケア企業”が注目されています。
- デジタルヘルスケアの1つである、バイオ・ヘルスケア企業で構成される米国バイオテクノロジー株式をみると、2020年初まで売上成長と同程度のペースで研究開発投資を進める傾向がありましたが、コロナショックを転機に売上成長以上に研究開発を進めるなど、先行投資が拡大しています(グラフ4)。
デジタルヘルスケア企業のさらなる躍進が期待される
- FDAによる新薬承認件数は概ね上昇トレンドにありましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2022年は落ち込みました(グラフ5)。一方、遺伝子療法やCAR-T細胞療法※といった最先端テクノロジーを活用した治療法の2022年の承認件数は、前年から増加しました(グラフ6)。
- 2023年初にアルツハイマー病治療薬がFDAに承認されるなど、2023年は既に7件の新薬が承認されています(2月17日時点)。2023年はコロナ禍で滞っていた新薬の承認が進むことが予想され、デジタルヘルスケア企業の躍進が期待されます。
- 患者自身の細胞を用いてがんと闘う、高度に個別化された治療法。
グラフ5:FDAによる新薬承認件数の推移
グラフ6:FDAによる遺伝子療法・CAR-T細胞療法の承認件数
金融市場動向
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