金融市場NOW

食品ロスの削減で地球温暖化を抑制へ

2022年05月16日号

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金融市場ラインマーカー

温室効果ガスのさらなる削減には、食品ロス対策が不可欠か

  • 温室効果ガスの大半が発電や輸送などのエネルギー由来のものであるため、食品ロスが気候変動に大きな影響を与えているとの認識はあまりないが、実は主因の1つとなっている。
  • 脱炭素社会の実現には再生可能エネルギー移行だけでは不十分であり、食品ロス対策が求められる。

実は、食品ロスは地球温暖化の主因の1つ

近年、『地球温暖化対策』が世界共通の最重要課題との認識が高まりつつあり(グラフ1)、温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガス排出削減のため、各国・地域が削減目標を掲げ対策を進めています。

排出される温室効果ガスの大半が発電や輸送などから生じるエネルギー由来のものです(グラフ2)。そのため“温暖化対策”と聞いた時に、多くの人が対象として思い浮かぶのは、石炭・石油などの化石燃料を使用した飛行機や自動車の規制で、食品ロスが実は、気候変動に大きな影響を与えていると考える人は少ないようです。

地球温暖化を抑制する方法を探る非営利団体が発行したレポート『ドローダウン』では、気候変動に対する80以上の解決策のうち、食品ロスの削減が第1に挙げられています。

グラフ1:地球温暖化対策は世界の最重要課題の1つ

  • ※世界が直面する環境問題の最重要課題(2020年)
  • 注)28ヵ国へのオンライン調査
    調査期間:2020/2/21~3/6
    調査対象:16~74歳、複数回答可。
    スペースの関係上、20% 以上の回答を掲載
  • 出所:statistaのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:排出されるCO₂の大半がエネルギー由来

  • ※二酸化炭素の発生起源(2020年)
  • 注)温室効果ガスのうち構成比率の高い二酸化炭素の排出起源を掲載
  • 出所:statistaのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

脱炭素社会の実現に向け食品ロス対策が必須か

グラフ3:食品ロスは世界3位の温室効果ガスの排出源

  • ※温室効果ガスの排出国(源)の順位
  • 注)食品ロスは2018年の世界の温室効果ガス排出量と温室効果ガスの発生要因に占める食品廃棄の割合(8%)を掛けて算出、各国の排出データは2017年時点
  • 出所:Our World in Data、World Resources Instituteのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

世界の食品廃棄量は、年間約25億トンにのぼるとみられています。世界で生産される食料のうち、およそ3分の1が、過剰生産などのさまざまな理由により廃棄されています。

廃棄のための燃焼や埋め立てにより排出する二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは、全世界の発生源のうち約8~10%を占めると推定され、年間約40億トンにのぼるとみられます。国連食糧農業機関(FAO)は、仮に世界中の食料廃棄量を1つの国とした場合、食品ロスによる温室効果ガス排出量は中国、米国に次ぐ世界3位の排出量になると報告しています(グラフ3)。

2021年11月に英国グラスゴーで開催されたCOP26(地球温暖化対策の国連の会議)では、現在の気候変動対策の進展状況では、気温上昇の抑制目標達成は困難との課題を残しました。

脱炭素社会の実現には、石炭などの化石燃料から再生可能エネルギーへの移行だけでは不十分であるとみられます。食品ロスの現状と気候変動との関係認識を広めるとともに、温室効果ガスの排出削減に向けたさらなる対策が求められることとなりそうです。

  • 世界自然保護基金(WWF)

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