金融市場NOW

世界の平均気温上昇 気候変動対策のさらなる強化へ

2022年01月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

各国がCO₂削減に取り組むも、地球温暖化が進む

  • 2021年の世界の平均気温が観測史上5番目の高さとなる。近年の世界の平均気温の上昇により、世界各地で洪水や熱波などの異常気象が多発、再生可能エネルギーへの更なる移行が求められる。
  • 日本企業も新興国の発電事業等に積極参入。世界の排出削減をリードしていくことも期待される。

パリ協定の目標達成にはまだ道のり遠く

グラフ1:世界の平均気温の上昇が加速している

  • ※世界の年平均気温からのかい離の推移
  • *1850~1900年の平均気温からのかい離気温
  • 出所:コペルニクス気候変動サービスをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

欧州連合(EU)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスの最新の報告書によると、2021年の世界の平均気温は、1850年からの観測史上5番目の高さとなりました(グラフ1)。
地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定では、『世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、できれば1.5℃に抑える』との目標を掲げ、各国が地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出削減に取り組んでいるものの、現時点において、非常に厳しい状況が明らかとなりました。

気温上昇に起因した異常気象が世界で多発

グラフ2:災害の増加で経済損失額も増加傾向

  • ※災害による経済損失額の推移
  • *干ばつ、気温上昇、洪水、土砂崩れ、竜巻、山火事による経済損失額の合計
  • 出所:世界気象機関をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によれば、世界の平均気温の上昇により、降雨パターンが変化し、今後もさらに、世界各地で異常気象の発生頻度が高まるとしています。2021年も北米を襲った熱波による山火事、豪雨による欧州の大洪水などの自然災害が相次ぎました。世界気象機関によれば、洪水や干ばつなど、2000年以降20年間における世界の自然災害は6,701件となり、1970年から2000年までの30年間の発生件数(4,371件)を上回っています。また、災害による経済損失額も増加しています(グラフ2)。先進国では水力、太陽光などの再生可能エネルギーへの移行が進みつつある一方、新興国では依然として化石燃料への依存度が高く、化石燃料由来のCO₂排出量が増加傾向にあるのが現状です。

日本企業が新興国の発電事業に積極参入

グラフ3:新興国向けへのさらなる投資が重要となる

  • ※新興国向けクリーンエネルギー関連投資の見込み額
  • 出所:IEAをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

国際エネルギー機関(IEA)は、再生可能エネルギー移行のための新興国への投資は、世界の最優先事項であるとし、世界各国に協調するよう呼びかけています。IEAによれば、新興国の化石燃料由来のCO₂排出量削減には、2020年時点で約1,500億ドルであった投資額を、2050年までに1兆ドル超まで増やす必要があると報告しています(グラフ3)。
近年、日本企業が最先端技術を導入し、カンボジアなどで太陽光や水力による発電事業を展開しています。今後、日本企業が世界の排出削減をリードしていくことも期待されます。

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