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COP26閉幕 グラスゴー気候協定を採択

2021年11月16日号

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各国の立場の違いにより全会一致で合意できなかった項目も

  • 11月1日から開催されていたCOP26が閉幕。各国が具体的な目標などを公表し、気候変動問題に取り組む姿勢を示したものの、各国の立場の違いにより全会一致で合意できなかった項目も。
  • 各国の対立から石炭火力発電について表現が弱められたものの、グラスゴー気候協定を採択。

約1年遅れで開催

11月1日から英国スコットランドのグラスゴーで開催されていた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、協議が難航したため、1日会期を延長し13日に閉幕しました。当初2020年開催予定だったCOP26は、新型コロナウイルス感染拡大により約1年会期が延期されて開催されました。

COP26では、2016年に発効された地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定を踏まえ4つの目標が掲げられていました(表1)。(1)石炭の段階的な廃止の加速などを通じ、地球規模で温室効果ガス実質ゼロ達成により気温上昇を食い止める。(2)気候変動に対応し、地域社会や自然を保護する。(3)上記(1)、(2)の目標達成のため、先進国などから資金を拠出する。(4)パリ協定の実施方針の決定など、気候変動対応に向け協力する。それぞれの目標について協議が進められました。

表1:パリ協定を踏まえた4目標(要約)

  • 出所:COP26HP、各種報道資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
(1) 21世紀半ばまでに温室効果ガス実質ゼロを確実に達成し、産業革命以前に比べて気温上昇1.5℃以内を手の届く範囲に維持。目標達成に向け、各国は石炭の段階的廃止の加速などを行う必要がある。
(2) 気候変動は既に進んでいる。気候変動の影響を受ける国々が、生態系の保護・修復などに取り組み、住宅や生活、命が失われる事態を回避するために協力する必要がある。
(3) (1)、(2)の目標達成のため、先進国は年間1,000億ドル以上の資金拠出の約束を果たすべき。世界規模で多額の融資を引き出すために取り組み、資金を動員する。
(4) 気候変動問題に立ち向かうため協力が必要。COP26においてパリ協定の実施方針の決定や政府、企業の協力によって行動を加速。

石炭火力発電停止には米中が署名せず

(1)に関連し、石炭火力発電廃止と新たな同発電所の建設停止に、世界の石炭火力発電の使用量上位20カ国のうち、韓国、インドネシア、ベトナムなど5カ国を含む23カ国が合意しました。しかし、主要な石炭消費国の中国やインドを始め米国や日本、オーストラリアなどは署名を見送り、効果を疑問視する声が上がっています。

(2)においては、130カ国超が2030年までに森林破壊を止め、回復させる方向で一致しました。南米やアフリカなどの新興国地域での森林破壊は顕著となっており、森林保全は新興国経済の負担となることも想定され、目標達成には課題が多いと思われます。

(3)の目標では、2009年のCOP15において新興国へ2020年まで年間1,000億ドルの資金拠出で合意したにもかかわらず、不足している状況です。米国、フランスなど各国は相次いで新興国への資金支援を期間中に表明しましたが、十分な支援を継続できるのかが注目されます。

グラスゴー気候協定を採択

(4)については、パリ協定の実施方針とも言える合意文書(グラスゴー気候協定)が採択されました(図1)。焦点となった石炭火力発電について、当初案の「段階的な廃止」から「段階的な削減」へと表現が弱められました。先進国の資金拠出の遅れなどに対する新興国の不満が背景にあったと想定されます。

COP26では、各項目での合意や資金拠出の表明など一定の成果が見られたものの、各国の気候変動への取り組み姿勢の違いも浮き彫りとなりました。しかし、政治的に対立する国同士においても、共同宣言などを通じ環境問題では一致団結する姿勢が示され、気候変動への取り組みは歩みを止めることなく今後も進められていくことが確認できた会議となったと思われます。

図1:グラスゴー気候協定の概要

  • 気温上昇を1.5℃に抑制する努力を追求
  • 参加国は必要に応じて2022年末までに2030年の削減目標を見直し、強化することで合意
  • 排出削減対策の採られていない石炭火力発電の段階的削減へ努力
  • 資金拠出を大幅に拡大することが約束され、先進国は2025年までに新興国への支援を倍増
  • 出所:COP26HP、各種報道資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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