金融市場NOW

期待される女性活躍の推進

2021年07月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

女性の積極登用で持続可能な社会の実現へ

  • 持続可能な開発目標(SDGs)で“ジェンダーの平等”が目標の1つに取り上げられ、女性の活躍をいっそう推進していくことが世界共通の課題となっている。
  • 近年、資本市場からも女性の活躍を促す動きがみられており、持続可能な社会の実現に向け、女性登用のさらなる推進が期待される。

女性の活躍の推進が世界共通の課題に

“男女平等”や“女性の社会進出”が世界的に重要視され、女性の活躍の推進が世界共通の課題となっています。持続可能な開発目標(SDGs)においても、“ジェンダーの平等”が目標の1つに取り上げられています。男女間の社会的格差は改善しつつあるものの、世界には男性に比べ女性の地位がはるかに低い国・地域が多く存在し、男女の不平等が世界から完全になくなったとは、言い難いようです。

主要国に比べ日本は男女格差の改善に遅れ

世界各国の閣僚ポストに女性が占める割合が21.9%*1と、2005年の調査開始以来過去最高となりました。2021年1月に発足したバイデン政権は、副大統領にハリス氏、財務長官にイエレン氏と、16の閣僚級ポストに6名の女性を起用するなど、近年、欧米を中心に女性がビジネスや政治の分野で活躍する姿が多く見受けられます。しかし、日本の女性閣僚比率は10%(20名のうち2名)にとどまっており、女性登用に大きく遅れを取っています。世界経済フォーラム(WEF)が公表するジェンダー・ギャップ指数*2を見ると、他国がスコアを改善させる一方、日本は15年間ほぼ横ばい圏で推移し、主要先進国の中で最低水準となっています(グラフ1)。特に、経済・教育・健康・政治の4分野のサブ項目のうち、経済・政治のスコアの低さが目立ち、WEFは議員や管理職に占める女性の割合が低いことや(グラフ2)、男性に比べ平均所得が低いことなどを指摘しています。

  • 国連女性機関(2021年1月時点)

グラフ1:日本のスコアは横ばい圏で推移している

  • ※G7(主要先進7ヵ国)各国のジェンダー・ギャップ指数の推移
  • *2 世界各国の男女平等の度合いを指数化したもの。男女の格差が無くなればスコアは1.00に、格差が大きければ0.00に近づく。
  • 出所:WEFの資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:日本は議員や管理職に占める女性の比率が低い

  • ※議員や管理職に占める女性比率の国際比較(2021年時点)
  • 出所:WEFの資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

資本市場から女性活躍を促す動きがみられる

グラフ3:女性の活躍が機関投資家の投資判断にも

  • ※投資判断や業務において女性活躍情報を活用する理由、「ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究アンケート調査」(複数回答、調査時期:2018年8~9月)
  • 出所:内閣府の資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

女性役員比率の向上を目的に2010年に英国で創設された『30% Club』が2019年5月より日本でも活動を開始しました。創設当初、英国の大企業の女性役員比率は約13%でしたが、2018年には30%に到達しました。近年、日本国内の機関投資家が投資判断に女性活躍の状況を重視するなど(グラフ3)、資本市場からも女性の活躍を促す動きがみられており、持続可能な社会の実現のため、女性登用のさらなる推進が期待されます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。