金融市場NOW

欧米の景況感と日本の景況感に大きな差

2021年06月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ワクチン接種の進展状況から、今後日本の景況感も改善が期待される

  • 欧米の総合PMIが好不況の節目と言われる50を大きく上回る一方で、日本の総合PMIは2カ月連続で50を割り込む。
  • 行動制限が解除されつつある欧米と、行動制限が続く日本でサービス業の景況感に大きな差。
  • 日本でもワクチン接種が進展しつつあり、今後日本の景況感も改善する可能性が高いとみられる。

欧米と日本で景況感が大きく異なる

グラフ1:日米欧の総合PMIの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

IHSマークイットが23日に発表した6月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は63.9と5月の68.7から4.8ポイント低下したものの、現算出方法での統計が開始された2009年10月以降で2番目に高い水準となりました。また、ユーロ圏の総合PMIも59.2と5月の57.1から2.1ポイント上昇し、リーマンショック前の2006年6月以来の高水準となりました。一方で、日本の総合PMIは47.8と5月の48.8から1.0ポイント低下し、2カ月続けて好不況の節目とされる50を割り込みました(グラフ1)。

欧米は製造業・サービス業ともに高水準

グラフ2:日米欧のサービス業PMIの推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米国は製造業PMIが62.6(前月比+0.5)、サービス業PMIが64.8(同-5.6)、ユーロ圏は製造業PMIが63.1(同±0.0)、サービス業PMIが58.0(同+2.8)と50を大きく上回る水準となっています。改善が目立ったユーロ圏のサービス業の景況感は、新型コロナウイルスワクチンの接種進展を受けて、数カ月にも及んだロックダウン(都市封鎖)等の厳しい行動制限が解除され、飲食店などの対面サービス業を中心に景況感の改善が進んだものとみられます(グラフ2)。

日本でもサービス業はやや改善

日本は、製造業PMIが51.5(前月比-1.5)と50を上回った一方、サービス業PMIは47.2(同+0.7)とやや改善はしたものの50を下回る水準となりました(グラフ2)。サービス業の景況感は足元のワクチン接種進展等を受けて、やや改善したものの、6月は3度目となる緊急事態宣言の発令を受けた外出自粛や飲食店への時短営業の要請等もあり、低迷が続いているものと思われます。サービス業の景況感改善が進まないため、市場では2021年4~6月期のGDP(国内総生産)成長率がマイナスとなるとの見方もあるようです。

今後、日本の景況感も改善が期待される

ワクチン接種の進展状況がサービス業景況感の改善状況に大きく影響しているものと思われます。足元では大規模接種や企業などの職域接種が開始されており、日本でもワクチン接種は進展しつつあります。今後さらにワクチン接種が進展し、時短営業等の制限措置の解除が進めば、低迷している日本のサービス業景況感は徐々に改善し、総合PMIも改善する可能性が高いとみています。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。