金融市場NOW

OPECプラス 減産規模を縮小

2020年12月23日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

経済活動再開による原油需要の回復期待から減産規模縮小に合意

  • OPECプラスは、需要回復を見込み、2021年1月から段階的に減産規模を縮小することで合意。
  • 経済活動の再開にともない、6月以降、原油価格は1バレル=40ドル台で安定的に推移。
  • 高水準の原油在庫や世界的な環境規制の強化による需要低下が、原油価格の上値を抑える要因に。

OPECプラスが2021年より減産規模縮小に合意

グラフ1:原油需要の緩やかな回復を予想

  • ※世界の原油需要の推移(2020年12月以降はOECDの予想値)
  • 出所:OECDのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなどの非加盟産油国で構成されるOPECプラスは、12月の閣僚会合において、2021年1月から段階的に減産規模を縮小することで合意しました。新型コロナウイルスのワクチン普及による感染抑制で、需要が回復するとの期待を反映したものとみられます(グラフ1)。減産規模を現在の日量770万バレルから720万バレルに引き下げ(日量50万バレルの増産)ました。当初、OPECプラスが計画していた減産規模は、日量580万バレルでした。仮に580万バレルまで減産規模が縮小されていた場合、供給過剰から原油価格が下落する可能性も指摘されていました。OPECプラスは、来年1月より毎月の閣僚協議において、翌月の減産規模を見直していく方針を示しています。

経済正常化期待で原油価格は値を戻す

グラフ2:経済活動再開で原油価格は上昇

  • ※WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

感染拡大の収束が見えず需要の回復時期の見極めが難しい中、OPECプラスは当面難しい舵取りを迫られることになりそうです。2020年初1バレル=60ドル台であったWTI原油先物価格は、感染拡大による世界経済の急減速で下落傾向をたどり、4月には史上初のマイナス価格を記録しました。その後、経済活動の再開による需要回復で値を戻し、6月以降は概ね40ドル台で安定的に推移しています(グラフ2)。

原油在庫や環境規制強化で原油需要は低下も

グラフ3:原油在庫は高水準となっている

  • ※米国原油在庫(戦略石油備蓄を除く)の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

欧米でワクチン接種が開始され、世界経済の正常化にともなう需要回復を期待する声もあります。しかし、長期におよぶ経済活動の制限などにより、原油在庫は例年を上回る水準が続いており(グラフ3)、当面、高水準の原油在庫が原油価格の上値を抑えることが予想されます。また、再生可能エネルギーや脱化石燃料への移行など、主要国による環境規制の強化にともなう原油需要の低下も、中長期的に原油価格の下落要因となりそうです。

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