金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2019年10月時点)

2019年10月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界経済見通しを5回連続で下方修正

国際通貨基金(IMF)は10月15日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2019年の成長率予測を3.0%、2020年を3.4%と、前回7月の見通しからいずれも引き下げ、金融危機の直後であった2009年以来、10年ぶりの低い伸び率になると予想しました。長期化する米中貿易摩擦による世界的な貿易の減速や企業の設備投資の鈍化を主な要因としています。なお、成長率の下方修正は2018年10月以降、5回連続となっています。

  • 米国は、米中貿易摩擦による貿易と企業の設備投資の減速から2019年の成長率は2.4%と、前回から0.2ポイント下方修正しました。2020年は、歳出拡大の効果等により2.1%と前回から0.2ポイント上方修正しました。
  • ユーロ圏は、輸出の低迷等を受け2019年の成長率は1.2%と前回から0.1ポイントの下方修正、2020年も前回から0.2ポイント下方修正し、1.4%としました。
  • 日本の2019年の成長率は前回の0.9%から変更はありませんでした。消費増税を受けた家計支出の鈍化による景気減速は避けられない見込みであり、2020年は0.5%まで成長率が低下するとしました。
  • 中国は、米中貿易摩擦の影響等から2019年の成長率を6.1%、2020年を5.8%とそれぞれ前回から下方修正しました。引き続き、景気刺激策が経済活動を下支えすることが期待されるものの、習政権が主導する債務の抑制政策の影響による内需の低迷を受け、2018年の6.6%から減速するとしました。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2019年10月時点

  • 単位:%
  • *1 インドは年度ベース(各年の4月~翌年3月)
  • *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
  • *3 オーストラリアは2019年4月発表時との比較
  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2018年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2019年7月時点)との比較
2019年 2020年 2019年 2020年
世界 3.6 3.0 3.4 -0.2 -0.1
先進国 2.3 1.7 1.7 -0.2 0.0
日本 0.8 0.9 0.5 0.0 0.1
米国 2.9 2.4 2.1 -0.2 0.2
ユーロ圏 1.9 1.2 1.4 -0.1 -0.2
ドイツ 1.5 0.5 1.2 -0.2 -0.5
フランス 1.7 1.2 1.3 -0.1 -0.1
イタリア 0.9 0.0 0.5 -0.1 -0.3
スペイン 2.6 2.2 1.8 -0.1 -0.1
英国 1.4 1.2 1.4 -0.1 0.0
カナダ 1.9 1.5 1.8 0.0 -0.1
新興国 4.5 3.9 4.6 -0.2 -0.1
中国 6.6 6.1 5.8 -0.1 -0.2
インド*1 6.8 6.1 7.0 -0.9 -0.2
ASEAN5*2 5.2 4.8 4.9 -0.2 -0.2
ブラジル 1.1 0.9 2.0 0.1 -0.4
ロシア 2.3 1.1 1.9 -0.1 0.0
オーストラリア*3 2.7 1.7 2.3 -0.4 -0.5

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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