金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2019年7月時点)

2019年07月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2019年世界経済見通しを下方修正

国際通貨基金(IMF)は7月23日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2019年の成長率予測を3.2%、2020年を3.5%と、前回4月の見通しからいずれも0.1ポイント引き下げました。今後予想される米国の対中貿易制裁が脅威となることや、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不透明感などが引き続き懸念材料となると指摘しています。なお、成長率の下方修正は2018年10月以降、4回連続となっています。

  • 米国は、堅調な輸出や在庫品増加などを背景に2019年の成長率は2.6%と、前回から0.3ポイント上方修正しました。2020年については、財政刺激策の効果のはく落を見込み、1.9%まで鈍化するとしました。
  • ユーロ圏の2019年の成長率は1.3%と前回から変化はありませんでした。2020年は外需の回復が予想されていることや、フランスの街頭デモなどの一時的な要因の解消が見込まれていることなどから1.6%と、前回から0.1ポイント上方修正しました。
  • 日本の2019年の成長率は外需の落ち込み等が考慮され、0.9%と前回から0.1ポイント小幅に下方修正しました。安倍政権による財政政策の効果は期待できるものの、消費増税による景気減速は避けられない見込みであり、2020年は0.4%に低下するとしました。
  • 中国は、米中貿易摩擦の影響等から2019年の成長率を6.2%と、前回から0.1ポイント下方修正しました。引き続き景気刺激策が経済活動を下支えすると見込み、2020年の成長率を6.0%と、前回から小幅な修正にとどめました。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2019年7月時点

  • 単位:%
  • *1 インドは年度ベース(各年の4月~翌年3月)
  • *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
  • *3 オーストラリアは2019年4月発表時の見通し
  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2018年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2019年4月時点)との比較
2019年 2020年 2019年 2020年
世界 3.6 3.2 3.5 -0.1 -0.1
先進国 2.2 1.9 1.7 0.1 0.0
日本 0.8 0.9 0.4 -0.1 -0.1
米国 2.9 2.6 1.9 0.3 0.0
ユーロ圏 1.9 1.3 1.6 0.0 0.1
ドイツ 1.4 0.7 1.7 -0.1 0.3
フランス 1.7 1.3 1.4 0.0 0.0
イタリア 0.9 0.1 0.8 0.0 -0.1
スペイン 2.6 2.3 1.9 0.2 0.0
英国 1.4 1.3 1.4 0.1 0.0
カナダ 1.9 1.5 1.9 0.0 0.0
新興国 4.5 4.1 4.7 -0.3 -0.1
中国 6.6 6.2 6.0 -0.1 -0.1
インド*1 6.8 7.0 7.2 -0.3 -0.3
ASEAN5*2 5.2 5.0 5.1 -0.1 -0.1
ブラジル 1.1 0.8 2.4 -1.3 -0.1
ロシア 2.3 1.2 1.9 -0.4 0.2
オーストラリア*3 2.8 2.1 2.8

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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