金融市場NOW

大阪でG20サミット開催

2019年07月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

注目を集めた米中首脳会談で、貿易協議を継続していくことを確認

  • 6月28日~29日に大阪でG20サミットが開催され、経済分野を主要議題として議論が行われた。
  • G20サミット中に開催された米中首脳会談における貿易摩擦問題への対応に市場の注目が集まっていた。会談後に、貿易協議を再開させることで合意したことが確認された。
  • 首脳宣言では、世界経済を下方リスクから守るために、全ての政策手段を用いることを再確認。

G20サミットとは?

6月28日、29日の両日、大阪においてG20金融・世界経済に関する首脳会合(以降、G20サミット)が開催されました。G20サミットは毎年開催される国際会議で、リーマン・ショックを契機に発生した経済・金融危機に対処するため、2008年11月、主要先進国・新興国の首脳が参画する会合として、従来のG20財務大臣・中央銀行総裁会議を首脳級に格上げしたものです。メンバー国(図1)や招待国の首脳、国際機関など、37の国や機関が参加し、経済分野を主要議題としています。2008年に第1回が開催されてから、今回が14回目であり、日本では初の開催となりました。

図1:G20サミットメンバー一覧

  • 米国
  • ロシア
  • 中国
  • 韓国
  • 日本
  • オーストラリア
  • ドイツ
  • メキシコ
  • イギリス
  • インドネシア
  • フランス
  • サウジアラビア
  • インド
  • トルコ
  • イタリア
  • アルゼンチン
  • ブラジル
  • 南アフリカ
  • カナダ
  • EU(欧州連合)
  • 出所:外務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米中首脳会談に注目が集まる

6月29日に実施されたトランプ米大統領と習近平中国国家主席との首脳会談に特に市場の注目が集まっていました。両首脳による会談は予定通りに行われ、今後も通商協議を継続していくこと、対中国追加関税第4弾(米国が中国から輸入する約3,000億ドル相当の全製品に対する追加関税)を先送りすること、中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)に米企業が製品を売ることを容認すること、等が確認されました。市場は対中国追加関税第4弾が先送りされたこと等を好感し、株高・ドル高で反応しています(表1)。一方で、米中両国の隔たりは大きく、今回の措置は問題を先送りしたに過ぎないとの声もあり、今後の交渉の行方を注視していく必要がありそうです。

表1:米中首脳会談前後の株価・為替の動き

  • S&P500については米国市場が開いていないため、夜間取引のある先物を使用
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  6/28終値 7/1東京10:00 変動幅
S&P500 株価指数先物 2,944.20 2,970.70 +26.50(+0.9%)
日経平均株価 21,275.92 21,590.67 +314.75(+1.5%)
ドル/円 107.85 108.25 +0.40(+0.4%)

首脳宣言では全ての政策手段を用いることを確認

今回のG20サミットにおいて、世界経済、貿易・投資、開発、気候・エネルギー、雇用、テロ対策、移民・難民問題等について議論されました。G20サミット閉幕後に公表された首脳宣言(図2)の貿易に関する項目では、保護貿易に反対する姿勢を示した文言は、前回のブエノスアイレスに引き続き、大阪でも盛り込まれませんでした。世界経済に関する項目では「足元安定しているものの、下方リスクをはらんでおり、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いる」との文言が盛り込まれており、市場では緩和的な環境が続いていくものと思われます。

図2:世界経済に関する首脳宣言の概要

  • 世界経済は足元で安定化の兆しを示し、本年後半及び2020年に向けて緩やかに上向く見通し。
  • 成長は低位であり続けており、リスクは依然として下方に傾いている。一方で、貿易と地政を巡る緊張は増大。
  • 強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を実現するため、また、信頼を高める対話と行動を強化することにより、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いるとの我々の責任を再確認。
  • 財政政策は機動的に実施し、成長に配慮したものとすべき。
  • 金融政策は引き続き、経済活動を支え、中央銀行の使命と整合的な形で物価の安定を確保。
  • 自由、公平、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、市場を開放的に保つよう努力。
  • 出所:外務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。