金融市場NOW

法人企業統計調査 設備投資が引き続き堅調

2019年06月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

経常利益は増益へ

  • 2019年1~3月期の法人企業統計調査によると、設備投資が10四半期連続の増加となった。
  • 経常利益は1~3月期としては過去最高を更新。非製造業が前四半期のマイナスからプラスに転じる。
  • 今回の結果を受け、6月10日公表の国内総生産(GDP)改定値は小幅に上方修正される見込み。

グラフ1:設備投資は10四半期連続の増加となる

  • ※全規模ベースの設備投資(前年同期比増減率)の推移(全産業及び非製造業には金融業、保険業は含まれていない)
  • 出所:財務省「法人企業統計調査」をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

6月3日に財務省が発表した2019年1~3月期の法人企業統計調査によると、全産業(資本金1千万円以上、金融業、保険業を除く)の設備投資が前年同期比(以下同様)で6.1%増の15兆6,763億円となり、10四半期連続で前年同期を上回りました(グラフ1)。内訳では、製造業が同8.5%増、非製造業は同5.0%増となりました。製造業のうち、生産用機械が同43.1%増、化学が同42.1%増となり上昇に大きく寄与しました。

また、国内総生産(GDP)改定値を算出する際に基礎となる、ソフトウエアを除く全産業の設備投資額は前期比1.1%増となり、2四半期連続で増加となりました。

グラフ2:経常利益は1~3月期としては過去最高

  • ※経常利益の推移(各年1~3月期)(全規模・全産業(金融業、保険業は含まれていない))
  • 出所:財務省「法人企業統計調査」をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

全産業の経常利益は前年同期比10.3%増の22兆2,440億円と、1~3月期としては過去最高となりました(グラフ2)。内訳では、原材料価格の上昇等から業務用機械や電気機械が大幅減となったことなどから製造業は同マイナス6.3%となり、3四半期連続で減少となりました。長期化する米中貿易摩擦の影響等から、中国向けのスマートフォン用電子部品や輸送用機械の工場稼働率が下がったことが要因の1つとみられています。一方、非製造業は前四半期の同マイナス4.9%から同18.4%とプラスに転じました。

今回の法人企業統計調査の結果は、6月10日に内閣府より公表される2019年1~3月期の国内総生産(GDP)改定値に反映されます。速報値では前期比マイナス0.3%と芳しくなかった設備投資は上方修正され、GDPも小幅に修正されるという見方が多いようです。しかし、製造業を中心に米中貿易摩擦に端を発した世界的な景気減速が懸念材料となり、今後については引き続き注視していく必要がありそうです。

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