金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2019年4月時点)

2019年04月11日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

欧米諸国など主要国が揃って下方修正

国際通貨基金(IMF)は4月9日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2019年の成長率予測を3.3%とし、前回1月の見通しから0.2ポイント引き下げました。長引く米中貿易摩擦や中国の景気減速に加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題が引き続き懸念材料となっているとし、今後についても成長率がさらに鈍化する恐れもあると指摘しました。以下、要約です。

  • 米国は、政府機関の一部閉鎖が内需を下押ししたことなどから、2019年の成長率は2.3%とし、前回から0.2ポイント下方修正。また、大型減税の効果がはく落する2020年は1.9%まで鈍化するとした。
  • ユーロ圏の2019年の成長率は0.3ポイント引き下げ1.3%とした。ドイツを筆頭に欧州各国の経済成長は著しく鈍化しており、英国のEU離脱問題も引き続き懸念材料となる。
  • 日本の2019年の成長率は1.0%と予測。前回から0.1ポイント下方修正した。安倍政権の内需喚起策により景気の大きな落ち込みは防ぐことができるとしたものの、昨年の相次ぐ自然災害等を受け見通しを引き下げた。
  • 中国は2019年の成長率を6.3%とし、2018年の6.6%から減速するも、前回見通しから0.1ポイント上方修正。しかし、貿易摩擦により米国およびその他の国々との緊張感は高まっており、引き続き世界的なリスクとなるとした。

表:IMF世界経済見通し(前年比)

2019年4月時点

  • 単位:%
  • *1 インドは年度ベース(各年の4月~翌年3月)
  • *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
  • *3 オーストラリアは2018年10月時点との比較
  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2018年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2019年1月時点)との比較
2019年 2020年 2019年 2020年
世界 3.6 3.3 3.6 -0.2 0.0
先進国 2.2 1.8 1.7 -0.2 0.0
日本 0.8 1.0 0.5 -0.1 0.0
米国 2.9 2.3 1.9 -0.2 0.1
ユーロ圏 1.8 1.3 1.5 -0.3 -0.2
ドイツ 1.5 0.8 1.4 -0.5 -0.2
フランス 1.5 1.3 1.4 -0.2 -0.2
イタリア 0.9 0.1 0.9 -0.5 0.0
スペイン 2.5 2.1 1.9 -0.1 0.0
英国 1.4 1.2 1.4 -0.3 -0.2
カナダ 1.8 1.5 1.9 -0.4 0.0
新興国 4.5 4.4 4.8 -0.1 -0.1
中国 6.6 6.3 6.1 0.1 -0.1
インド*1 7.1 7.3 7.5 -0.2 -0.2
ASEAN5*2 5.2 5.1 5.2 0.0 0.0
ブラジル 1.1 2.1 2.5 -0.4 0.3
ロシア 2.3 1.6 1.7 0.0 0.0
オーストラリア*3 2.8 2.1 2.8 -0.7

グラフ1:主要先進国の経済見通し
(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し
(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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