金融市場NOW

実質GDPマイナス 2四半期ぶり

2018年11月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

10月以降は回復を見込むも、海外情勢が懸念材料となるか

  • 内閣府が発表した2018年7~9月期の実質国内総生産は、前期比マイナス0.3%となる。
  • 相次ぐ自然災害により、内需の柱である個人消費が伸びなかったことが主因か。
  • 次期に反動増を予想する声はあるも、世界経済への不透明感が日本に悪影響を及ぼす可能性も。

内閣府が11月14日に発表した2018年7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比マイナス0.3%、年率換算ではマイナス1.2%となりました(グラフ1、表1)。西日本豪雨や台風21号、北海道地震とそれに伴う大規模停電など自然災害が相次いだことで、内需の柱である個人消費が伸びなかったことが主因となったとみられます。マイナスとなるのは、大雪など天候不順で個人消費が不振となった2018年1~3月期以来、2四半期ぶりとなっています。

内需のおよそ半分を占める個人消費は、自然災害の影響による宿泊・飲食関連の減少によりマイナス0.1%となり、4~6月期から大きく落ち込みました。また、民間設備投資も、自然災害で建設用機械への設備投資が滞ったことなどを主因とし、8四半期ぶりのマイナスで、4~6月期から大幅に下振れとなりました。プラスとなったのは住宅投資で、5四半期ぶりにプラスに転じました。工事の進捗状況に応じてGDPに算入されるため、4~6月期の新築着工が反映されたためです。外需のうち、輸出も災害による部品供給停滞や生産の遅れの影響を受けました。マイナス1.8%となり5四半期ぶりのマイナスとなっています(グラフ1、表1) 。

災害による影響の解消が見込まれる2018年10-12月期には反動増を予想する声は多いものの、米中貿易摩擦をはじめ世界経済への不透明感が増しており、日本経済にも悪影響を及ぼす可能性が強まっているようです。

グラフ1:個人消費が振るわず2四半期ぶりにマイナス

※実質GDP増減率の寄与度の内訳(前期比、年率) 出所:内閣府のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

表1:自然災害による内需の落ち込みが目立つ

※2018年7~9月期の実質GDP増減率(前期比)の内訳 *1 カッコ内は2018年4~6月期 *2 ▲はマイナスを表します。 *3 民間在庫はGDPの伸びに対する寄与度を記載 出所:内閣府のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
GDP
【 年率換算 】
▲0.3%(0.8%)
【 ▲1.2%(3.0%)】
個人消費 ▲0.1%(0.7%)
住宅投資 0.6%(▲1.9%)
設備投資 ▲0.2%(3.1%)
民間在庫 ▲0.1%(0.0%)
政府消費 0.2%(0.2%)
公共投資 ▲1.9%(▲0.3%)
輸出 ▲1.8%(0.3%)
輸入 ▲1.4%(1.0%)

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