金融市場NOW

ビジネス環境ランキング インドが大幅改善

2018年11月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界銀行の協力のもと、環境改善に取り組む

  • 世界銀行の『2019年版ビジネス環境ランキング』でニュージーランドが昨年同様1位となった。
  • インドが昨年から23位順位を上げ、大躍進。モディ政権が発足した2014年からは65位の大幅改善。
  • インド政府は、世界銀行の協力を得ながらビジネス環境ランキングの向上に取り組んでいる。

世界銀行が10月31日に、世界各国のビジネスのしやすさを順位付けした『2019年版ビジネス環境ランキング』を発表しました(表1)。ランキングは世界190カ国・地域を対象に、起業のしやすさなどビジネス環境がどれだけ整っているかをまとめたもので、『新規参入』や『資金調達』などの10の指標で総合評価され、毎年発表されています。

1位は前年に引き続きニュージーランドとなりました。『起業のしやすさ』、『資金調達』、『不動産登録』の3項目でトップとなりました。日本は39位となり、昨年より順位を5位落としました(表1)。他国と比較した手続きの煩雑さなどから、『起業のしやすさ』が93位にとどまったほか、税制や資金調達面で低評価となりました。安倍政権は、このビジネス環境ランキングで2020年までに先進国3位以内に入ることを目標に掲げているものの、今回の結果からみて、達成はより厳しくなってきたと言えそうです。

  • 「新規参入」「建設許可の取りやすさ」「電力供給」「不動産登録」「資金調達」「投資家保護」「税金の支払い」「海外貿易事情」「契約履行」「破綻処理」の10の項目を分析し、毎年ランキングを発表。

表1:前年に引き続きニュージーランドが首位

※2019年版ビジネス環境ランキング 出所:世界銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
順位 国・地域 前年順位
1 ニュージーランド 1
2 シンガポール 2
3 デンマーク 3
4 香港 5
5 韓国 4
6 ジョージア 9
7 ノルウェー 8
8 米国 6
9 英国 7
10 マケドニア 11
39 日本 34

今回、前年から大幅に順位を上げたインドに注目が集まっています。インドは190カ国・地域中、77位にランクインし、前年から23位順位を上げました。また、モディ政権が発足した2014年(142位(2015年版))からは65位の大幅改善であり(グラフ1)、世界銀行は「経済改革により大幅な改善が見られた上位10カ国」にインドをあげています。ビジネス環境の改善を背景に、近年、海外からインドへの直接投資は増加傾向にあります(グラフ2)。インド政府はインド商工省産業政策促進局(DIPP)を事務局とし、世界銀行の協力を得ながらビジネス環境ランキングの向上に取り組んでおり、今後の政策とその効果が注目されそうです。

グラフ1:モディ政権発足時から65位順位が改善

※ビジネス環境ランキング2015年版~2019年版のインドの順位推移 出所:世界銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:インドへの直接投資額は増加している

※2018年は6月まで反映 ※海外からインドへの直接投資額の推移 出所:インド商工省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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