金融市場NOW

商品価格下落 世界景気の減速感強まる

2018年08月29日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米中貿易摩擦を受け、中国の景気悪化懸念も

  • 国際商品市場において、主要商品価格が軒並み下落基調となっている。
  • 米中貿易摩擦の激化により、主要な需要国である中国の景気減速が懸念されていることが要因か。
  • 足元では需要減不安が強く意識されている。商品相場の回復には、実需の持ち直しが必要となるか。

国際商品市場において、原油や銅、金をはじめとする主要商品価格が軒並み下落基調となっています。エネルギーや農産物、金属など主要な19品目で構成され、総合的な商品の値動きを示すCRB指数は直近で高値を付けた5月23日からおよそ6.9%の下落となっています(8月24日時点)(グラフ1)。米中貿易摩擦の激化により、主要な需要国である中国の景気減速が懸念されており、世界的に商品の需要が落ち込むとの観測が強いことに加え、外国為替市場においてドル高が進行し(グラフ2)、ドル建てで取引される国際商品に割高感が出て売り圧力が強まったことが下落の要因とみられています。

グラフ1:CRB指数は直近高値から6.9%下落

※CRB指数の推移 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:ドル高の進行は商品の売り圧力を高める

*2018年1月1日を100として指数化 ※新興国通貨(対米ドル)の推移 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:銅価格はおよそ昨年夏以来の安値水準に

※銅(LME3ヵ月先物)価格の推移 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米中貿易摩擦により、中国の需要減速懸念が特に強まったのが銅やアルミニウムなどの非鉄です。建材や自動車などの幅広い分野で使用され、世界景気に敏感とされる銅価格は年初からおよそ16.0%下落し(8月24日時点)、2017年7月中旬以来の安値水準となっています(グラフ3)。米国は中国に知的財産侵害に対する制裁関税を発動しており、銅は関税の対象となった自動車や産業用ロボット等にも使用されています。貿易摩擦激化により中国の生産活動が落ち込むこととなれば、銅の需要がさらに減少する可能性も予想されます。

景気減速の兆候を感じた投資家がリスク回避姿勢を強めていることに加え、今後の米中貿易摩擦の激化懸念から、足元では需要減不安が強く意識されている状況です。商品相場の回復には、実需の持ち直しが必要となりそうです。

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