金融市場NOW

減少傾向が続く日本の中国向け工作機械受注

2018年08月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米中貿易摩擦緩和の兆しが出始めるまで減少傾向が続く可能性も

  • 7月の日本の工作機械受注額は前年同月比13.1%増加。プラスは20ヵ月に及ぶ。内需が好調な半面、外需は鈍化傾向が続く。外需低迷の主な要因は中国向け受注の減少。
  • トランプ米政権が進める米国第一主義政策が外需や自動車関連受注に影響しているものと思われる。米中貿易摩擦の改善等先行きの不透明感が後退するまで、外需等の減少が続く可能性も。

グラフ1:工作機械受注額の推移

出所:ブルームバーグや日本工作機械工業会のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

足元の工作機械受注全体は堅調に推移しているものの、外需(海外向け)の約4分の1を占める中国向け受注が大きく鈍化する等、一部では先行きの不安材料も見え始めています。

日本工作機械工業会が8月21日に発表した7月の工作機械受注額は、前年同月比13.1%増の1,511億円となりました。前年同月比での増加は2016年12月から20ヵ月に及んでいます。内需(国内向け)が674億円とリーマン・ショック以降では3番目の高水準を記録する一方、外需は837億円と2017年8月の818億円以来の低さとなっています(グラフ1)。

  • 工作機械は「機械を作る機械」「マザーマシン(母なる機械)」とも言われます。一般的には「切削、研削、せん断、鍛造、圧延等により金属、木材、その他の材料を有用な形にする機械」と定義されます。

グラフ2:中国向け工作機械受注額の推移

出所:ブルームバーグや日本工作機械工業会のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

外需減少の主な要因は中国向け受注の減少です。7月の国・地域別の受注額で中国向けは205億円と2016年12月以来19カ月ぶりの低水準となりました。前年同月比では8.5%減と、マイナスが5ヵ月連続で続いています(グラフ2)。米中貿易摩擦の動向を見定めようと、中国への投資を抑える企業が増えているものと思われます。

グラフ3:自動車関連工作機械受注額の推移

出所:ブルームバーグや日本工作機械工業会のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

トランプ米大統領が進める米国第一主義は自動車関連(自動車・同部品)の工作機械受注にも影響を与えているようです。同大統領は、米国が輸入する自動車、自動車部品に最大で25%の追加関税を課す考えを打ち出しています。7月の受注の伸び(前年同月比)は8.4%増と、2017年11月以来の低い伸びに留まりました(グラフ3)。

8月23日、米国は160億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課す制裁を発動。これに対して中国が直ちに対抗措置を講じる等、両国の関係が改善する兆しは今のところ見えていません。工作機械受注にとって不透明な環境が当面続くことも考えられます。

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