金融市場NOW

政府が第二次補正予算案を閣議決定

2020年06月01日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

事業規模は117兆1,000億円 家賃支援給付金を創設

  • 政府は5月27日の臨時閣議で、事業規模117兆1,000億円の第二次補正予算案を閣議決定。売上高が急減した飲食店等の家賃支援のために家賃支援給付金を創設。
  • 経済対策の拡充による企業業績の悪化懸念の後退が投資家心理を改善させ、日経平均株価や東証REIT指数上昇の支援材料になるものと思われる。

(1)事業規模は117兆1,000億円

政府は5月27日夕刻の臨時閣議で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年度第二次補正予算案を閣議決定しました。一般会計の追加歳出額は31兆9,114億円で、4月30日に成立した第一次補正予算の25兆6,914億円を上回り、補正予算としては過去最大規模となります。民間融資等を加えた事業規模(注1)は117兆1,000億円で、第一次補正予算と合わせると234兆円に上ります。安倍首相は政府・与党の政策懇談会で「GDP(国内総生産)の4割に上る世界最大の対策によって日本経済を守り抜く」と強調しました。

一般会計や特別会計の歳出等、「真水(注2)」と呼ばれる国費は約33兆円で、第一次補正予算との合計では約60兆円。リーマン・ショック後の2009年4月の経済対策での約15兆円を大きく上回る規模となっています。

政府は、第二次補正予算案を6月8日に国会に提出し、17日までの今国会での成立を目指します。

  • 事業規模:政府系金融機関による融資拡大等、返済が見込まれる金額も含めた、経済対策全体の規模を指す。
  • 真水:経済対策のうち、一般会計や特別会計の歳出等で国や地方の直接の財政支出を伴うもの(例えば企業や個人向け給付金)を指す。GDP(国内総生産)など景気の直接的な押し上げ効果は、真水の規模によるところが大きいとされる。

(2)第二次補正予算案のポイント

第二次補正予算案で最も重点が置かれているのが企業の資金繰り支援です。政府や民間の金融機関を通じた実質無利子・無担保融資に60兆円超が配分されています。その他、企業による雇用の維持を後押しするための雇用調整助成金の上限額の引き上げ、売上高の急減で店舗やオフィスの家賃支払いに苦しむ企業を支援するための家賃支援給付金の創設、新型コロナウイルスの第二波等に備えた医療体制の強化策等が盛り込まれています(表1)。

表1:2020年度第二次補正予算案のポイント

  • 出所:財務省や各種報道をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
項目 主な内容
資金繰り対応強化
  • 政府系や民間の金融機関を通じた実質無利子・無担保融資を60兆円超に拡充
雇用調整助成拡充
  • 雇用調整助成金の日額上限を 8,330円から1万5,000円(月33万円)に引上げ
家賃支援給付金創設
  • 売上高が急減した飲食店等の家賃支援に最大で月100万円(6ヵ月合計で600万円)支給
学生支援緊急給付金創設
  • 授業料を免除する大学等に助成金を支給
医療提供体制強化
  • 医療・介護従事者らに最大20万円給付
その他の支援
  • 新型コロナウイルス対策に取り組む自治体向けの地方創生臨時交付金を2兆円増額
  • 児童扶養手当の受給世帯に臨時給付金支給

(3)日経平均株価等の支援材料に

グラフ1:日経平均株価や東証REIT指数の推移

  • 出所:ブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

第二次補正予算案の閣議決定による業績悪化懸念の後退が投資家心理を改善させ、日経平均株価や東証REIT指数上昇の支援材料になるものと思われます。足元の東証REIT指数は日経平均株価に比べて出遅れ感が強くなっています(グラフ1)。家賃支援給付金の創設で、賃料の減免・減額による業績悪化懸念が後退し、東証REIT指数も日経平均株価同様に回復傾向を強めるものと思われます。

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