金融市場NOW

世界経済 ゆるやかに減速へ

2018年06月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米保護主義政策は引き続き懸念材料

世界銀行は6月5日に改定した世界経済見通し(GEP)において、2018年の世界全体の成長率を前回1月時点の予測から据え置き3.1%とし、引き続き堅調に推移するとの見通しを発表しました。その後は、各国・地域の中央銀行の利上げや米国の財政刺激が弱まり始めることなどから、2019年は3.0%、2020年は2.9%と先行きは緩やかに減速すると見込んでいます。なお、14日に国際通貨基金(IMF)が公表した米国の中期経済見通しにおいても、大型減税と歳出拡大効果の剥落により、2020年以降、米国の成長率は低下をたどると分析しています。トランプ米政権による保護主義的政策がより鮮明となる中、政治の不確実性と地政学的リスクは依然として大きいものとみられます。
以下、ポイントです。

  • 日本の2018年の成長率予想は1.0%とし、1月時点の予測から0.3ポイント引き下げた。原油価格の上昇が個人消費を下押しすると指摘。消費増税等の影響から2019年は0.8%、2020年も0.5%と減速が続く見込み。
  • 米国の2018年の成長率予想は2.7%、2019年は2.5%と、見通しを1月時点の予想から2018年を0.2ポイント、2019年を0.3ポイントそれぞれ引き上げた。年明けに米議会を通過し、成立した支出拡大の予算合意が考慮に入れられた。大型減税と歳出拡大効果の剥落により2020年以降は下落をたどる見込み。
  • ユーロ圏は2018年が2.1%、2019年が1.7%となり、緩やかに景気が減速するとの予想が据え置かれた。
  • 新興国を代表する中国やインドは従来の見通しをおおむね維持された。中国は2018年が6.5%と前回予想から0.1ポイント引き上げられ、2019年は6.3%とやや鈍化すると見込まれている。
  • 通貨急落に見舞われたアルゼンチンは成長率が大幅に下方修正された。米国の利上げにより、米ドル建て債務の返済負担が増す可能性が懸念されている。

世界経済は徐々に減速すると見込まれている

※主要国・地域の経済成長率予測
先進国:G7(米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)を含む35ヵ国
新興国:BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を含む146ヵ国
出所:世界銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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