金融市場NOW

2018年春闘 大企業賃上げへ

2018年05月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

安倍政権が求める目標値を下回るも高水準

  • 4月25日に日本経団連が春季労使交渉の結果をまとめ、大企業の賃上げ率は2.54%となった。
  • 大企業は直近5年間の累積で基本給が約4万円増加し、経団連は賃上げの流れは継続中と評価。
  • 物価上昇を加味した場合の実質賃金は低下傾向にあり、引き続き賃上げ継続の仕組み作りが重要。

経団連(日本経済団体連合会)は4月25日、2018年の春季労使交渉の結果をまとめました。大手企業の賃上げ額は月額で8,621円増、賃上げ率(定期昇給とベースアップ(ベア)の和)は2.54%となり、賃上げ率は安倍総理が目標として掲げていた『3%の賃上げ』には届かなかったものの、2015年の2.59%以来の高水準で、賃上げ額も2006年の8,800円以来の高水準となりました。大企業はこの5年間の累積で、月額の基本給がおよそ4万円増えることになり(グラフ1)、経団連は「3%を上回る賃上げで妥結した大企業もあり、賃上げの流れは継続している」と評価しているようです。

業種別では2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、インフラ整備に伴う建設需要が引き続き旺盛であったことなどから、『建設』が1万5,445円でトップとなり、賃金上昇率も2.92%と最も高くなりました。次いで『自動車』が9,866円で2.91%、小売りなどの「商業」が8,814円で2.27%となり、人手不足などにともなう企業の対応を映し出した結果となりました。

賃上げ率のうち、年齢が上がると賃金が増加する定期昇給がおよそ1.8~1.9%であり、この定期昇給部分を差し引くと、ベースアップ部分は0.6~0.7%程度と引き続き1%以下にとどまる見込みです(グラフ2) 。また、物価の上昇を加味した実質賃金は下落し続けており、現状では消費の大幅な伸びは期待できず、経団連は来年以降も賃上げを継続させる仕組み作りが重要であるとしています。

グラフ1:賃金上昇率は上昇傾向にある

※大企業の賃上げ額と賃上げ率(月額) ※各年における第1回集計結果 出所:経団連「春季労使交渉 大手企業別妥結結果」のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:ベアは長らく1%未満にとどまっている

※ベースアップ率の推移 出所:中央労働委員会のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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