金融市場NOW

家計の金融資産 過去最高

2018年03月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

昨今の株高を背景に時価が上昇

  • 2017年12月末時点の家計金融資産残高は、前年同期比3.9%増の1,880兆円となり過去最高を更新。
  • 株価の上昇を背景に、家計が保有する株式や投資信託の評価額が膨らんだことが要因。
  • 家計金融資産の過半が現金・預金である姿に変化はなく『貯蓄から投資へ』の浸透には時間を要する。

日本銀行が2018年3月19日に発表した2017年10~12月期資金循環統計(速報)によれば、2017年12月末時点で家計が保有する金融資産の残高は前年同期比(以下同様)3.9%増の1,880兆円と過去最高を更新しました。昨今の株価の上昇を背景に、家計が保有する株式や投資信託の評価額が膨らんだことが要因とみられています。前年同期の水準を上回るのは、6四半期連続です。

家計が保有する株式は1年間で31兆円増加し、2017年末時点で211兆円となりました。世界的な景気拡大を背景に日経平均株価は1年間で19%上昇しており、含み益が増えたことから、時価の上昇分がおよそ36兆円強に上りました。その一方で、家計は保有していた株式を売却して利益を得ており、売り越し額は1年間でおよそ4.5兆円にのぼりました。

金融資産の主な内訳は、現金・預金が2.5%増の961兆円、株式等が17.3%増の211兆円、投資信託が13.1%増の109兆円となり、それぞれ残高が過去最高を更新、保険・年金などは0.7%増の520兆円となりました。株式は、株価上昇による時価評価の上昇により、投信信託は時価評価上昇のほか、新規資金の流入が継続していることも増加に寄与しました。

政府は長年『貯蓄から投資へ』をスローガンに、リスク性資産への投資を推進しようとしていますが、今回のリスク性資産の大きな増加要因は株式や投資信託の時価額が膨らんだことであり、『貯蓄から投資へ』のさらなる浸透にはまだまだ時間を要するとみられます(グラフ2) 。

グラフ1:家計の金融資産残高は過去最高を更新

※家計金融資産残高の推移 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:家計金融資産の過半を現金・預金が占める

※家計金融資産構成の推移 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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