金融市場NOW

羽田空港 増便へ前進

2016年08月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

都市間競争 世界で激化

  • 羽田空港の発着枠増加方針が固まる。経済効果は6,500億円に上る見込み。
  • 国際線直行便就航都市数と国際線旅客数が依然として低水準にあること等、交通・アクセス分野が東京の弱みとなっている。
  • 首都圏空港の容量拡大は、訪日客の受け入れ環境整備の第一歩として期待される。

国土交通省が7月28日に開いた関係自治体との協議で、羽田空港の発着枠を2020年の東京五輪・パラリンピック前に、年3.9万回増やす方針が固まりました。現在の東京湾上空を飛行するルートに都心上空を通るルートを加え、滑走路の有効活用を図る考えのようです。国土交通省は羽田空港の国際線旅客が現行の1.5倍の1,964万人に増え(グラフ1)、経済効果は年6,500億円に上るとみています。

首都圏空港(成田・羽田)の機能強化の背景には、世界的に都市間競争が強まっていること等があげられます。2空港の容量はアジアではトップクラスですが、就航都市数や国際旅客数では見劣りしています。世界の主要40都市を対象に都市の総合力を評価する『世界の都市総合力ランキング』(2015年版)(森記念財団作成)によると、国際線直行便就航都市数と国際線旅客数が低水準にある等、交通・アクセス分野が東京の弱みとなっています(グラフ2)。相対的に利便性が高い羽田空港の国際線を増やし、東京の都市としての魅力を高める一方、成田空港は格安航空会社(LCC)重視など羽田との差別化をめざしていくようです。首都圏の2空港は機能強化によって年75万回の発着枠が約83万回に増加する見込みであり、これはニューヨーク3空港の118万回、ロンドン5空港の110万回に次ぐ規模です(表1)。政府は2020年までに訪日客を4,000万人に増やす目標を掲げており、首都圏空港の容量拡大は、訪日客の受け入れ環境を整える第一歩と言えそうです。

グラフ1:東京国際空港(羽田)の国際線旅客数の推移

東京国際空港(羽田)の国際線旅客数の推移グラフ
出所:国土交通省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:世界の都市総合力ランキング上位5位(2015年版)

世界の都市総合力ランキング上位5位(2015年版)グラフ
出所:森記念財団の資料を基にニッセイアセットマネジメントが作成

表1:主要都市空港の年間発着回数

※2011年データ
出所:国土交通省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
都市名 年間発着回数(回)
ニューヨーク 118万
ロンドン 110万
成田+羽田 75万→83万
上海 57万
ソウル 34万
香港 34万
シンガポール 31万

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。