金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2017年7月時点)

2017年07月26日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2017年世界経済の成長率予想は据え置き

国際通貨基金(IMF)は7月24日に公表した最新の世界経済見通しで、2017年の世界成長率見通しを3.5%、2018年は3.6%とし、4月時点の予想を維持しました。IMFは「世界経済の成長率見通しを巡るリスクは短期的にはおおむね均衡しているが、中期的なリスクは引き続き下向き」と指摘しています。

  • 米国は、2017年、2018年ともに2.1%に下方修正しました。4月時点では、2017年の成長率を2.3%、2018年を2.5%と予想していましたが、トランプ政権の財政政策が従来の予想よりも景気拡大につながりにくいとの想定が主に反映されました。
  • 英国は、2017年を1.7%としました。第1四半期の経済活動が予想より弱かったことを理由に4月時点から0.3ポイント下方修正し、また2018年については1.5%に据え置きました。
  • ユーロ圏は、2017年が1.9%、2018年は1.7%とし、4月見通しからそれぞれ0.2ポイント、0.1ポイント引き上げました。上方修正の理由として「従来の想定より堅調な内需」を指摘しました。
  • 日本は、2017年は個人消費や投資、輸出が堅調で、第1四半期の成長が押し上げられたとの理由から1.3%とし、4月見通しから0.1ポイント引き上げました。2018年の見通しは0.6%に据え置きました。
  • 中国は、2017年が6.7%、2018年が6.4%とし、4月の見通しからそれぞれ0.1ポイント、0.2ポイント上方修正しました。今後も、中国政府は高水準の公共投資を維持するとの見方を示しています。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2017年7月時点

単位:%
*1 インドは年度ベース
*2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
*3 オーストラリアは2017年4月時点。2016年10月時点との比較
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2016年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2017年4月時点)との比較
2017年 2018年 2017年 2018年
世界 3.2 3.5 3.6 0.0 0.0
先進国 1.7 2.0 1.9 0.0 -0.1
日本 1.0 1.3 0.6 0.1 0.0
米国 1.6 2.1 2.1 -0.2 -0.4
ユーロ圏 1.8 1.9 1.7 0.2 0.1
ドイツ 1.8 1.8 1.6 0.2 0.1
フランス 1.2 1.5 1.7 0.1 0.1
イタリア 0.9 1.3 1.0 0.5 0.2
スペイン 3.2 3.1 2.4 0.5 0.3
英国 1.8 1.7 1.5 -0.3 0.0
カナダ 1.5 2.5 1.9 0.6 -0.1
新興国 4.3 4.6 4.8 0.1 0.0
中国 6.7 6.7 6.4 0.1 0.2
インド *1 7.1 7.2 7.7 0.0 0.0
ASEAN5 *2 4.9 5.1 5.2 0.1 0.0
ブラジル -3.6 0.3 1.3 0.1 -0.4
ロシア -0.2 1.4 1.4 0.0 0.0
オーストラリア *3 2.5 3.1 3.0 0.4 0.1

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

主要先進国の経済見通し(前年比)
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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