金融市場NOW

大卒就職率 今春最高更新

2017年06月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

景気回復が追い風 女性の就職率の好調が目立つ

  • 今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率が97.6%なり、調査開始以来過去最高となった。
  • 女性の就職率は、98.4%と0.4ポイント改善し、就職率全体の上昇をけん引。
  • 一方、企業規模によるミスマッチは拡大。政府は、企業と学生の溝を埋めるべく対策を講じている。

今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)が前年比0.3ポイント増の97.6%であったことが、文部科学省と厚生労働省の調査でわかりました。就職率は2011年に91.0%まで落ち込み、その後6年連続で上昇し、今回調査は1997年の調査開始以来の過去最高を更新しました。文部科学省は「景気回復が続き、企業の求人が増えているため」と分析しています(グラフ1)。就職希望者の割合も0.7ポイント増の74.7%と過去最高を更新し、同省の推計では就職した卒業生は41万6,100人で、前年を1万1,800人上回りました。

好調ぶりが目立つのが女性の就職率です。98.4%と0.4ポイント改善し、男性を1.5ポイント上回りました。男性を上回るのは5年連続で、就職率全体の上昇をけん引しています。「女性の社会進出を支えようという雰囲気も後押ししたのではないか」と文科省はみているようです。文系は97.3%、理系は98.7%でした。

近年の景気回復を背景に学生にとって就職しやすい環境になっているものの、一部の企業では採用しにくい環境となっているようです。要因の1つとして、企業の人手不足が追い風となり、学生に「大手をめざしたい」との期待が広がっていることによる、企業の規模によるミスマッチがあげられています(グラフ2)。従業員数が5,000人以上の大企業では有効求人倍率(求職者に対する求人の倍率)が1倍を割っている一方で、300人未満の中小企業では4.16倍となっているのが現状です(グラフ3)。

中小企業・小規模事業者の人材確保のため、中小企業庁は全国各地で、合同企業説明会等のマッチングイベントの開催や、人材採用・定着のための職場づくりや企業情報発信についてのセミナーなどを開催することで継続的な支援を行っています。企業と学生との溝は少しずつ埋まっていくかもしれません。

グラフ1:大卒就職率は調査開始以来過去最高

大卒就職率は調査開始以来過去最高
※大卒就職率の推移
出所:文部科学省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:企業と学生との規模のミスマッチが大きい

企業と学生との規模のミスマッチが大きい
※「大手企業志向」ですか、それとも「中堅・中小企業志向」ですか(「2018年卒マイナビ大学生就職意識調査」(調査期間:2017年2月1日~4月12日 回答方法:WEB入力フォーム 回収有効回答:15,621名))
出所:マイナビのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:中小企業の有効求人倍率は大企業に比べ高い

企業と学生との規模のミスマッチが大きい
※企業規模別の有効求人倍率の推移
出所:リクルート進学総研のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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