金融市場NOW

訪日客消費 アジア勢がけん引

2017年10月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

主要都市以外への観光客誘致など、課題残る

  • 2017年1~9月期の訪日客の消費額が3兆円を突破。昨年を上回るペース。
  • アジア勢の個人客やリピーター客の増加が要因か。大手百貨店や免税店等では、客層の変化も顕著に。
  • 政府が掲げる『2020年までに消費額を8兆円』という目標にはほど遠く、引き続き課題は残る。

観光庁は、今年1~9月期の訪日客の消費額が3兆2,761億円となったことを発表しました。

前年の同時期と比べて15%増加しており、年間ベースで過去最高を記録した昨年1年の3兆7,476億円を上回るペースとなっています。2017年7~9月期の1人当り旅行支出額は16万5,412円で、増加率(前年同期比)は+6.6%と、7四半期ぶりにプラスに転じました(グラフ1)。訪日客数が引き続き堅調に増加していることに加え、中国や韓国を中心とした東アジアや東南アジアからの訪日客の消費が好調なためです。日本での消費額が最も大きな中国では、訪日ツアーの販売を制限する動きがある代わりに、個人客が増加したことにより消費が伸びました。大手百貨店や免税店等では、個人向け商品を充実させるといった対応が功を奏し、昨今では“ツアー客”から“個人旅行者”へという客層の変化がみられているようです。また、リピーター客ほどお金をたくさん使うという傾向も顕著になってきています。日本政府観光局(JINTO)によれば、9月の訪日客数は前年同期比でおよそ19%増加となり(グラフ2)、中国や香港、韓国などの伸びが大きくなっています。アジア勢の増加により、2ケタ成長は4月から6か月間継続しています。10月に入ってからも訪日客数は堅調に増加しているものの、政府が掲げる『2020年までに訪日客数を4,000万人、消費額を8兆円に引き上げる』という目標にはほど遠く、主要都市以外への誘致など課題は残りそうです。

インバウンド消費の規模は、名目国内総生産(GDP)の約0.6%とまだまだ小さいものの、訪日客の増加に伴いここ10年間で4倍の規模にまで拡大し、GDPへの寄与度も0.1%となっており(2016年時点)、訪日客の動向については今後も注視していく必要がありそうです。

  • 内閣府国民経済計算の「非居住者家計の国内での直接購入」

グラフ1:訪日客の1人当り旅行支出額の増加率は7四半期ぶりにプラスへ

訪日客の1人当り旅行支出額の増加率は7四半期ぶりにプラスへ
※訪日外国人1人当り旅行支出額の推移 出所:観光庁のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:訪日客数は2016年を上回るペースで増加中

訪日客数は2016年を上回るペースで増加中
※訪日客数の累計額比較(2016年および2017年) 出所:日本政府観光局(JINTO)のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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