金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2017年4月時点)

2017年04月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2017年世界経済の成長率予想を引き上げ

国際通貨基金(IMF)は4月18日に公表した最新の世界経済見通しで、2017年の世界経済の成長率の予想を3.5%とし、1月時点の3.4%から引き上げました。大型の財政出動に踏み切る米国が先進国経済の回復をけん引し、資源価格の反転などで新興国経済も上向くとみられています。その一方で、米国の急速な利上げや、北朝鮮、中東などの地政学リスクの高まりなどには懸念を表明しています。

米国は2017年、2018年ともに前回見通しを維持しました。トランプ政権の大型減税や市況の活況、企業心理の好転に支えられ、2016年の1.6%を大幅に上回ると予測しています。

英国の2017年の見通しは2.0%。前回から0.5ポイント引き上げ2.0%としました。昨年6月の英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択以降、同国経済は予想外の堅調なパフォーマンスとなっていることから、英国のEU離脱による悪影響が顕在化するには時間がかかるとの見方を示しています。

日本は輸出の拡大を織り込み、2017年の予想を0.4ポイント上方修正し、1.2%としました。しかし2018年は政策効果の息切れや輸入の反発が響き、0.6%に減速するとみています。

新興国の全体の見通しは、2017年、2018年ともに据え置きました。原油をはじめとする商品相場の回復に支えられ、資源輸出国の状況は徐々に改善するものと予想されています。一方、天然資源への依存度が高い国・地域の成長率見通しは下方修正しました。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2017年4月時点

単位:%
*1 インドは年度ベース
*2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
*3 オーストラリアは2016年10月時点との比較
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2016年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2017年1月時点)との比較
2017年 2018年 2017年 2018年
世界 3.1 3.5 3.6 0.1 0.0
先進国 1.7 2.0 2.0 0.1 0.0
日本 1.0 1.2 0.6 0.4 0.1
米国 1.6 2.3 2.5 0.0 0.0
ユーロ圏 1.7 1.7 1.6 0.1 0.0
ドイツ 1.8 1.6 1.5 0.1 0.0
フランス 1.2 1.4 1.6 0.1 0.0
イタリア 0.9 0.8 0.8 0.1 0.0
スペイン 3.2 2.6 2.1 0.3 0.0
英国 1.8 2.0 1.5 0.5 0.1
カナダ 1.4 1.9 2.0 0.0 0.0
新興国 4.1 4.5 4.8 0.0 0.0
中国 6.7 6.6 6.2 0.1 0.2
インド *1 6.8 7.2 7.7 0.0 0.0
ASEAN5 *2 4.9 5.0 5.2 0.1 0.0
ブラジル -3.6 0.2 1.7 0.0 0.2
ロシア -0.2 1.4 1.4 0.3 0.2
オーストラリア *3 2.5 3.1 3.0 0.4 0.1

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

主要先進国の経済見通し(前年比)
出所:IMのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)
出所:IMのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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