金融市場NOW

派遣時給 上昇傾向続く

2017年01月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
  • 「営業・販売・サービス系」を中心に派遣社員の平均時給が上昇。人材不足が原因か。
  • 派遣法改正等により、派遣会社はコスト増加。時給引き上げ以外に交通費の支給等で人材確保も。
  • 人材不足が解消されない限り、派遣社員の時給上昇は今後も継続か。

求人情報大手のリクルートジョブズがまとめた三大都市圏(関東・東海・関西)の2016年10月の派遣社員の募集時平均時給は前年同月比0.1%高い1,614円となりました(グラフ1)。9月に前年を下回ったものの、再び増加へと転じています。サービスやIT(情報技術)を中心に人手不足が続いており、派遣会社は時給を上げないと社員を集めることが困難になっているようです。

近年、時給の伸びが特に目立つのは「営業・販売・サービス系」で、前年同月比2.2%上昇の1,426円と過去最高を更新しました(グラフ2)。携帯電話の販売やコールセンター業務で、フルタイムの従業員を中心に獲得競争が激しくなっています。また、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)がゼロになったこと等により海外旅行に行く人々が増加していることから、接客スタッフの時給など、旅行業も伸びているようです。

昨年9月の派遣法改正により、派遣会社に対して1年に8時間以上、有給の教育訓練を派遣社員に施すことが義務づけられました。また今年の10月1日から社会保険の適用範囲が拡大され、派遣労働者の一部も対象となりました。派遣会社にとってコスト増加の要因となりますが、人手不足が深刻化する中、時給の引上げ以外に交通費を支給したり、無期雇用に乗り出すなどして人材を確保するところも増加してきているようです。

近年の慢性的な人手不足が解消されないかぎり、派遣社員の時給や企業が派遣会社に支払う料金の上昇傾向は今後も継続するものとみられます。

グラフ1:三大都市圏の派遣時給(前年同月比)は再びプラス圏に

三大都市圏の派遣時給(前年同月比)は再びプラス圏に
※三大都市圏全体の平均時給の推移
出所:(株)リクルートジョブズの資料を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:「営業・販売・サービス系」の時給は過去最高

「営業・販売・サービス系」の時給は過去最高
※「営業・販売・サービス系」の時給の推移
出所:(株)リクルートジョブズの資料を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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