金融市場NOW
2020年米大統領選(11)
結果を巡る混乱続くも米国株堅調、死角はないのか
2020年11月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
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選挙結果が確定しないものの、米国株は概ね堅調に推移
- 米大統領選は、バイデン氏が当選確実となり勝利宣言。トランプ氏は選挙結果に異議を唱え法廷闘争の構え。
- 勝者が確定せず混乱が続く中でも、米国株は概ね堅調に推移。議会勢力図に変更がないとの見通しから、どちらが大統領となっても極端な政策は遂行されないと楽観視か。
バイデン氏が勝利宣言
集計が続いている米国大統領選挙は、「バイデン氏当選確実」と各メディアが報じたことを受けて、バイデン氏は7日勝利を宣言しました。最終的には選挙人を300人程度(過半数270人)獲得すると見られています。一方トランプ氏は、激戦州での選挙結果に異議を唱え、法廷闘争に持ち込む姿勢を示しています。一部の州では、既に提訴が下級裁判所で棄却されるなど、選挙結果が覆る可能性は低いとの見方が大勢を占めています。
バイデン氏政権移行チーム発足
バイデン氏と副大統領候補のハリス氏は政権移行チームを発足させています。政策の優先事項として新型コロナウイルス対策、景気回復、環境対策、人種問題が示されています。環境では政策面での支援が期待される環境インフラや再生可能エネルギーなどの関連産業にはビジネスチャンスが到来することが予想されます。
議会勢力図に変更はない模様
上院選では、共和党が50議席、民主党が48議席を確保する見通しであり、残りの2議席は来年初にジョージア州で決戦投票が行われます。ただし、2議席とも民主党が獲得する可能性は低いと言われており、上院で共和党が多数派を維持するとの見方が大勢を占めています。議会勢力図に変更がないことから、期待される追加経済対策協議は、選挙前と同様に審議が難航することが予想されます。しかし有権者へのアピールのために、要求が尖鋭化しがちであった選挙前と比較し、相互に譲歩する余地が生まれ、早期成立に至るとの楽観論も一部にあります。
株式市場は楽観視か
グラフ1:米国株価と時価総額の推移(直近2カ月間)

- ※9/14を100として指数化
- 出所:ブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
トランプ氏が敗北を認めず法廷闘争の姿勢を示す中、米国株式市場は概ね堅調に推移しています(グラフ1)。市場では「バイデン政権」でも「トランプ政権」でも政策の相違によって選好されるセクターに違いはあるものの、議会勢力図に変更がないとの見通しから、市場全体に大きなマイナスの影響を及ぼすような行き過ぎた政策は遂行されないとの楽観論があると思われます。カネ余りの投資環境下においては、全米44州で新規感染者数が増加し感染の再拡大が伝えられる状況も、米国株の大きな下落要因として材料視されず、市場から資金を流出させるに至っていないと思われます。2021年1月20日の大統領就任式(表1)に向けて、米国株は概ね堅調に推移することが想定されます。しかし選挙結果を巡る政局の混乱から、両氏の支持者の衝突や大規模な暴動など社会不安を引き起こす事態が発生した場合には、いわば“いいとこ取り”で上昇してきた米国株を大きく下落させる要因となりえることには、注意が必要と思われます。
表1:今後の日程
日付 | 内容 |
---|---|
2020年12月8日 | 選挙集計の締め切り・選挙人確定 |
2020年12月14日 | 選挙人が各州で投票 |
2020年12月23日 | 各州の選挙人投票が連邦議会到着 |
2021年1月6日 | 連邦議会が選挙人投票を集計・結果宣言 |
2021年1月20日 | 新大統領就任式 |
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