金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2020年1月時点)

2020年01月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界経済見通しを6回連続で下方修正

国際通貨基金(IMF)は1月20日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2020年の成長率予測を3.3%、2021年を3.4%と、前回10月の見通しからいずれも引き下げました。製造業や世界貿易が底を打ちつつあること等のプラス面があるものの、国内需要の成長が予想よりも急減速しているインドをはじめとする新興国の経済が予想より大きく減速するとする予測が下方修正の背景にあるようです。

  • 米国は、中立的な財政スタンスに戻り、金融緩和の効果も薄れていくと予想され、2020年の成長率は2.0%と前回から0.1ポイントの下方修正、2021年は前回と変わらずの1.7%とされています。
  • ユーロ圏は、ドイツやスペインの輸出の低迷等を受け2020年の成長率は1.3%と前回から0.1ポイントの下方修正、2021年は外需の回復が予想されており前回と変わらずの1.4%となっています。
  • 日本は、2019年12月の刺激策から見込まれる景気の押し上げ効果を反映し2020年の成長率は0.7%と前回から0.2ポイント上方修正、2021年は財政刺激策の効果が薄れることから前回と変わらずの0.5%となっています。
  • 中国は、米中貿易交渉の「第一段階」合意を受けて当面の景気低迷が緩和される可能性が高く2020年の成長率を6.0%と0.2ポイント上方修正されました。2021年は広範な米中経済摩擦における未解決の問題や中国国内で必要になっている金融規制強化を受け、5.8%と前回から0.1ポイント下方修正されています。
  • 「2020年1月世界経済見通し 改訂見通し」を要約

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2020年1月時点

  • 単位:%
  • *1 インドは年度ベース(各年の4月~翌年3月)
  • *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
  • *3 オーストラリアは2019年10月発表時の見通し
  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2019年(推計)(前年比) 見通し(前年比) 前回(2019年10月時点)との比較
2020年 2021年 2020年 2021年
世界 2.9 3.3 3.4 -0.1 -0.2
先進国 1.7 1.6 1.6 -0.1 0.0
日本 1.0 0.7 0.5 0.2 0.0
米国 2.3 2.0 1.7 -0.1 0.0
ユーロ圏 1.2 1.3 1.4 -0.1 0.0
ドイツ 0.5 1.1 1.4 -0.1 0.0
フランス 1.3 1.3 1.3 0.0 0.0
イタリア 0.2 0.5 0.7 0.0 -0.1
スペイン 2.0 1.6 1.6 -0.2 -0.1
英国 1.3 1.4 1.5 0.0 0.0
カナダ 1.5 1.8 1.8 0.0 0.0
新興国 3.7 4.4 4.6 -0.2 -0.2
中国 6.1 6.0 5.8 0.2 -0.1
インド*1 4.8 5.8 6.5 -1.2 -0.9
ASEAN5*2 4.7 4.8 5.1 -0.1 -0.1
ブラジル 1.2 2.2 2.3 0.2 -0.1
ロシア 1.1 1.9 2.0 0.0 0.0
オーストラリア*3 1.7 2.3 -0.5

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

  • 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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