金融市場NOW
景気減速懸念が燻るなかでも
生成AIの開発競争が激化
2023年06月07日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
リーマン・ショック後の景気後退局面でのハイテク株の値動きは?
- “チャットGPT”など生成AIをめぐる企業の開発競争は激化。関連企業の株価は上昇基調で推移。
- 米国の利上げ停止が意識されるなか、米国株は強弱入り混じる経済指標を見極めながら方向感を探る展開に。リーマン・ショック後のハイテク企業の株価は、成長期待が上昇を後押し。
企業が開発競争を繰り広げる生成AI
インフレ抑制のため各国金融当局が金融引き締めに動き、米国でも金融引き締めによる景気減速懸念が燻るなか、メディアでは連日のように“チャットGPT”をはじめとする生成AI(画像など、さまざまなコンテンツの生成が可能な人工知能)に関する報道がなされています。生成AIに関する報道をうけ、関連企業の株価は反応しており(グラフ1)、市場の関心や期待の高さがうかがえます。
生成AIに関しては、近年、各企業の開発競争が激化しており、ソフトウェアを中心としたハイテク企業のみならず、製造業への応用の可能性を模索する動きもみられます 。
市場は2023年後半の利下げを織り込む
FRB(米連邦準備制度理事会)は、5月FOMC(米連邦公開市場委員会)において0.25%の利上げを決定し、今後の利上げ休止を示唆しました。市場では緩やかな米景気減速を想定し、2023年後半以降、FRBが利下げに転じるとの見方が大勢を占めています。なお、一部では信用不安が金融危機に発展し、大幅な景気後退に陥ることも懸念されています。2023年4月以降の米国株式市場は、強弱入り混じる米経済指標を受け、方向感を探る展開が続いています(グラフ2)。
リーマン・ショック後のハイテク株の値動きは?
世界的な金融危機の引き金となったリーマン・ショックが起きた2008年当時に上場していたエヌビディア、マイクロソフト、グーグルの株価の値動きは、それぞればらつきはあるものの、米国株式市場(S&P500)と同様に下落した後、大幅に上昇しました(グラフ3)。ハイテク企業の成長期待が株価上昇を後押ししたものと思われます。2008年当時と現在とでは、相場環境の違いなどもあることから、必ずしもリーマン・ショック時と同様の値動きとなるとは言えないかもしれません。しかし、生成AIが単なるソフトウェアにとどまらず、幅広い産業で導入の可能性を探られていることなどを鑑みると、景気後退が意識される局面においても、株式市場では明るい材料の1つとして捉えられることが期待され、今後も生成AIの動向は、株式市場で益々材料視されていくものと思われます。
- 当レポートは個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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