金融市場NOW

日銀短観(2019年9月調査)の概要

2019年10月03日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

日銀短観は景気の先行きに不透明感が漂う結果に

  • 日本銀行が10月1日に発表した2019年9月の全国企業短期経済観測調査(短観、9月調査)において、大企業の業況判断指数(DI)は製造業・非製造業ともに悪化。先行きも悪化する見通し。
  • 雇用人員判断DIは、やや底打ち感はあるものの人手不足感は解消されず。
  • 事業計画の前提となる2019年度下期の大企業製造業の想定為替レートは108.50円。

大企業製造業・非製造業DIともに悪化

日本銀行が10月1日に発表した短観、9月調査は、長引く米中貿易摩擦問題や海外景気の減速等を受け、市場予想は上回ったものの大企業製造業・非製造業DIともに前回調査より悪化しました。

大企業製造業のDIは、前回調査より2ポイント悪化したプラス5となり、3期連続で悪化しました(表1)。業務用機械や木材・木製品が改善を示した一方で、石油・石炭製品や非鉄金属が大きく悪化しました。先行きについては、大きく悪化した石油・石炭製品や非鉄金属が反動から上昇する見込みであるものの、長引く米中貿易摩擦の影響等による海外の需要減速が予想されており、輸出企業を中心に景況感の悪化が見込まれています。

大企業非製造業のDIはプラス21と前回調査から2ポイント悪化しました(表1)。対事業所サービス、情報サービス等の景況感が改善した一方で、卸売、電気・ガス、宿泊・飲食サービス等の景況感が悪化しています。先行きについては、10月1日からの消費増税に伴う個人消費への影響等が懸念され、慎重な見方が多いようです。

表1:日銀短観業況判断DI(2019年9月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

  • (*1)2019年6月調査比(*2)2019年9月(最近)比
  • 出所:日本銀行データをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2019年6月調査 2019年9月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 7 5 -2 2 -3
非製造業 23 21 -2 15 -6
全産業 15 13 -2 8 -5
中堅企業 製造業 5 2 -3 -1 -3
非製造業 18 18 0 9 -9
全産業 13 12 -1 5 -7
中小企業 製造業 -1 -4 -3 -9 -5
非製造業 10 10 0 1 -9
全産業 6 5 -1 -3 -8

人手不足解消の兆しは現れず

グラフ1:雇用人員判断DI

  • 出所:日本銀行データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス32と前回調査から横ばいとなりました(グラフ1)。30台のマイナスという数字は人手不足が顕著であった1991年から1992年のバブル期末期とほぼ同水準であり、人手不足の解消には時間がかかりそうです。

想定為替レートは前回よりもやや円高方向に

事業計画の前提となる2019年度下期の大企業製造業の想定為替レートは108.50円と、10月2日午前の為替相場より約80銭程度円安・米ドル高の想定となっており、現状の為替水準が継続した場合、企業収益を押し下げることにもなりそうです。

【参考レポート】日銀短観(2019年6月調査)及び景気動向指数の概要(金融市場NOW2019年7月16日号)

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