金融市場NOW

日銀短観(2019年6月調査)及び景気動向指数の概要

2019年07月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

日銀短観、景気動向指数ともに先行きには不透明感が漂う結果に

  • 日本銀行が7月1日に発表した2019年6月の全国企業短期経済観測調査(短観、6月調査)において、大企業・全産業の先行きは悪化するとの見通し。
  • 内閣府が7月5日に発表した2019年5月の景気動向指数(速報)は、一致指数は改善したものの、先行指数は悪化。

日銀短観の大企業製造業は悪化

大企業製造業の業況判断指数(DI)は、前回調査から5ポイント悪化のプラス7となり、2四半期連続で悪化しました(表1)。紙・パルプや石油・石炭製品などの業種が改善した一方で、米中貿易摩擦の激化懸念等から生産用機械、自動車などの輸出が多い業種が悪化しました。「先行き」についても、石油・石炭製品などが改善、生産用機械、自動車などが悪化する見込みとなっています。

表1:日銀短観業況判断DI(2019年6月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

  • (*1)2019年3月調査比 (*2)2019年6月(最近)比
  • 出所:日本銀行データをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2019年3月調査 2019年6月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 12 7 -5 7 0
非製造業 21 23 2 17 -6
全産業 17 15 -2 12 -3
中堅企業 製造業 7 5 -2 0 -5
非製造業 18 18 0 11 -7
全産業 13 13 0 6 -7
中小企業 製造業 6 -1 -7 -5 -4
非製造業 12 10 -2 3 -7
全産業 10 6 -4 -1 -7

日銀短観の大企業非製造業は改善

大企業非製造業のDIはプラス23と前回調査から2ポイント改善しました(表1)。通信、情報サービス等の景況感が悪化した一方で、物品賃貸、宿泊・飲食サービス等の景況感が改善しています。先行きについては、建設、電気・ガス等を中心に悪化が見込まれています。

景気動向指数は一致は上昇、先行は低下

グラフ1:景気動向指数の推移

  • 出所:内閣府のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

2019年5月の景気動向指数は、景気の現状を把握するのに用いられる一致指数が前月比1.1ポイント上昇の103.2となり、景気の基調判断は「悪化」から「下げ止まり」に引き上げられました。一方で、景気の先行きに対する予測を行うときに参照される先行指数は、同0.7ポイント低下の95.2と、景気の先行きに不透明感が漂う内容となりました。

将来の景気減速が示唆される

日銀短観、景気動向指数ともに、先行きの景気減速を示唆するような数値となっています。米中貿易摩擦激化による世界景気減速懸念に加え、10月に控えた消費税率引き上げも影響しているものと考えられます。景気悪化見通しがさらに強まる場合、金融政策を含めてどのような景気対策が打ち出されるかに市場の注目が集まりそうです。

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