金融市場NOW

半導体メモリー価格下落は一時的か

2018年11月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

IoT社会の到来や動画配信の増加等で今後の需要は旺盛

  • 半導体メモリーの価格下落が続く。スマホ販売の減速や供給過剰が原因か。
  • IoT社会の到来や動画配信の増加等で、半導体メモリー需要の拡大が予想される。半導体関連株の動きを示すSOX指数は現在の調整局面から脱し、再び上昇基調入りするものと思われる。

半導体メモリー(注1)の価格下落が続く

グラフ1:半導体メモリー価格(スポット価格)

※1:DDR4型・4ギガビット品のスポット価格 ※2:TLC128ギガビット品のスポット価格 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

半導体メモリーの代表品種で、データの一時記憶に使うDRAMの価格下落が続いています。指標品目の一つであるDDR(ダブルデータレート)(注2)4型の4ギガ(10億)ビット品のスポット(随時契約)価格は、中国需要の盛り上がり等で急上昇した2017年11月頃をピークに、足元まで下落傾向を続けています。DRAMと並ぶ半導体メモリーの代表品種、NAND型フラッシュメモリーも値下がりが続いています。指標品目であるTLC(トリプルレベルセル)の128ギガビット品は2017年11月頃を境に下げ足を速めています(グラフ1)。

  • 半導体メモリーとは、半導体の回路を電気的に制御することで、データを記憶保持する役割を持つ半導体回路装置を指します。磁気や光学ディスク装置等と比較して、データの読み書きが速い、記憶密度が高い等の特徴があります。電源を切ると記憶内容が失われるものを揮発性メモリー、失われないものを不揮発性メモリーといいます。前者の例ではDRAM(Dynamic Random Access Memory)、後者ではフラッシュメモリー等が挙げられます。
  • コンピュータ内の回路や装置間の通信の高速化などに用いられる送受信制御方式の一つ。

スマホ販売の減速やメーカーの量産が影響か

半導体メモリー価格下落の主な要因として、1)米中貿易摩擦等で景気の先行きに不透明感が強まる中、消費者の節約志向が広がり、スマホ販売が中国を中心に減速したこと、2)好調な市況が持続するとの見通し等から大手DRAMメーカーが増産に走り、供給過剰となったこと等が挙げられています。

IoT社会の到来等で需要拡大が見込まれる

一部では半導体市況は昨年末頃を境に不況期入りしたとする見方もあるようです。しかし、全てのモノがインターネットにつながるIoT(インターネットオブシングス)社会の到来や、動画配信の増加、AI(人工知能)の普及等を背景とするデータ通信量の拡大(グラフ2)に伴い、その処理等を担うメモリー需要は一段と高まるものと思われ、現在の調整は一時的であると考えています。

半導体メモリー市況の軟化等を背景に、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は9月初旬以降、調整局面入りしています(グラフ3)。しかし、同メモリー需要は今後回復に向かうと思われること、予想PER(株価収益率)が約7年ぶりの水準まで低下していること等を考えると、現在は売られ過ぎの状態にあると見ています。

グラフ2:全世界のモバイルデータ通信量

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:SOX指数と同指数予想PER

出所:Cisco社のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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