金融市場NOW

ESGマネー呼び込みへ 経済産業省が支援

2018年10月12日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

企業の社会貢献などを重視

  • 機関投資家を中心にESG投資への取り組みが進み、ESG投資家を意識する企業が急増しつつある。
  • 経済産業省はESG投資を重視する投資家の資金を企業に向かいやすくする仕組みづくりを整える。
  • 国際イニシアチブへの参加を阻む問題点の解決と、グローバルな投資を受け入れる体制整備が急がれる。

近年、投資先を選ぶ際に企業のESG(環境・社会・ガバナンス)※1を評価するESG投資が、大規模な資金を運用する機関投資家を中心に取り組みが進んでおり(グラフ1)、ESG投資家を意識する企業が急増しているようです。

これを受け経済産業省は、ESG投資を重視する機関投資家の資金が日本企業に向かいやすくするための仕組みを充実させていくようです。たとえば事業活動に必要な電力をすべて再生可能エネルギーで調達することをめざすRE100(Renewable Energy 100%)※2とよばれる国際イニシアチブなどへ参加することを支援し、世界の投資家に日本企業の再生エネルギー対策を認知されやすくすることで、投資資金を呼び込むことが狙いのようです。

世界のESG投資の資産規模は、2016年時点でおよそ22.9兆米ドルとなっており、2014年から約25%の増加となっています。しかし地域別の資産規模内訳を見ると、欧米諸国が中心となっておりアジア諸国・地域の資産規模はまだ小さいというのが現状です(グラフ2)。経済産業省は、海外勢を中心としたESGを重視する機関投資家の間で、日本企業の環境対策等が適切に評価されるための仕組みづくりを整えることとしました。

RE100の参加企業には欧米の大企業が多数名を連ねているものの、日本企業はまだ少数となっています。ESG投資家の一部には、RE100などの国際イニシアチブに参加しているか否かを投資先の選別目安にする動きもみられることから、今後は、日本企業の参加を阻む問題点の整理を進めるとともに、グローバルな投資を受け入れるための支援が急がれそうです。

  1. 「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つの英単語の頭文字を組み合わせたもの
  2. 事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標としている世界の企業の連合

グラフ1:ESGを意識した機関投資家が増えている

※責任投資原則(PRI)に署名したアセットオーナー(機関投資家)の数(各年4月時点) 出所:国連責任投資原則(PRI)のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:ESG投資は欧米を中心に拡大している

※世界のESG関連の資産規模比較 出所:世界持続可能投資連合(GSIA)のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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